お決まりの日々?

モモの節句でございます。

屋久島二日目(二日目)

今回のツアーを選ぶ目的の、屋久杉登山。
この日のために、靴や杖、バイオギアを買ったり、本を読んだり、リハビリしたりなど
準備をしてきたのだった。

三時半に起きれば、寝汗でぐっしょりしていたので、シャワー浴びて用意をする。
就寝前より体調はだいぶ良い。きついと聞いているので本調子でない今
上れるかと不安はあるものの、できるだけのところまではやってみて、
だめだったらリタイア宣言をしようと思う。

フルチャージした充電池をカメラにセットし、雨に備えてのカメラの防水カバーに
入れる段になって、サイズ調節用のスポンジが見当たらないことに慌てる。
見つかったが、集合時間ぎりぎりになってしまった。

星が綺麗だが見る時間はなかった。
モーニングコールを下さった添乗員さんに見送られ、バスで荒川登山口に向かう。
睡眠をとるように言われたが、防水カバーをカメラにつけてしまわねば、と
酔いそうになりながら頑張っていたり、またも小物の行方不明にごそごそするなどで、
結局寝ることは出来ず。
しかしカメラは、せっかく購入したカバー(7900円強)のお陰でボタンなどの操作が
非常にやりにくくなり、撮ってもらっても手ブレー。
戻ってから写真をチェックしたが、手ブレがなくてもボケボケボケボケで、
苔の接写が無意味になってしまっていた。ダメだ、と消去したのだが、
せっかくだから残しておいたらよかったのかなと今になって思う。

雨に備えてのカバーで、雨が降る前にとセットしたのだが、
カバーをつけている人が誰もいなかったので、途中からははずして
かなり撮影がやりやすくなった。朝のあわただしさとバスの中の苦労は
何だったのかと思うが、これも学ぶ要素のある経験であると、気持ちを仕舞った。

登山口で朝の弁当を食べ、いよいよ登山開始。
山歩きに慣れている思われる女性、ご夫婦、カップルと私の6人で、
ベテランガイドさんに引率される。

ガイドさんが怖いと避ける人もおり、すぐ後を歩く幸運に恵まれる。
質問すれば、ぶっきらぼうだが博学で答えてくださるし、
難所も彼の足運びと同じ道を選べば良いので楽でもある。
ベテランの息遣いはやはりたいしたもので、それに合わせれば見事なまでに
すっきりと楽なのだった。
屋久島の植物は、植物好きだった昔の心に心地よい水を注いでくれるので、
息づいた心がなるべく多くを学ぼうと、自然と反芻しながら道を歩く。

近く、遠くで、小さな大きな水音がする。
小さな水音は絶えない。雨がコケやシダに溜まり、そこからいつも水が落ちている。
シダにぶら下がる水がとてもおいしそうだ。
翌日、コケやシダには浄化作用があるので、その水は飲んでもいいと
教えてもらった。
シーサイドにあるホテルで聞こえる波音、山での森の水音、滝の音、
屋久島は水音に溢れていると思った。そしてそれがとても心地よく、
私は水音が好きなのだと思わされた。CDが欲しいと思った。
(風呂にもぐるのがリラックスのための一メソッドにしている位だ)

音だけではない。ひんやりと水気を含んだ空気も気持ちいい。
年貢代わりにと時の権力者が求めた屋久杉を伐採するため、
どのような策がとられたのか、その歴史も興味深い。
翌日、ヤクスギランドと屋久杉記念館で、
タクシー運転手さんから受けた説明と、生き生きとリンクした。

人気コースだけあってとにかく人が多い。
縄文杉以上に、人を集める樹は世界中にない、この樹が枯れたら、
僕たちは失業する、とツアーガイドさんが言われるだけのことがある。
エコツアー以外の登山客もおり、私達のガイドさんは、
山のルールを守らない人を見つけては、注意をしていた。
私達も多くの注意をもらった。それは怪我をしないため、死なないため、
そして自然を守るために必要な注意であったので、私はちっとも不快じゃなかった。
山のルールとは、上り優先、下りの人は道が開けば後続の人が詰まらないように、
速やかに下る、決められた道以外に入り込まない、
注意としては、ガイドより先に行かない、写真を撮った後、遅れを取り戻そうと走らない、
写真を確かめながら歩かないなどであったが、
写真を撮ることが目的になると、行程が遅れてしまい、
帰りは日の落ちた道を急ぐとあぶなくなる、など彼の注意には理由があるのに、
「死んだ人もいます!」という口調が怖かったのか、
他の参加者は一歩引いたように恐れていた。不満を私に言う者もいた。
その参加者に対して「ふうん、言い訳するんだ」とつぶやいたエコツアーガイドさんの
言葉が私の心に張り付いた。
人智の及ばない大自然の前には、自然と敬虔な心になると同じように、
知識と経験をもった専門家の前で、持たぬ者がとる態度は謙虚がふさわしい。
彼らと我々は対等ではない。
彼らに敬意を示して、学びたいという意欲を見せれば、
彼らは与えることに戸惑わない。
それこそ尽きぬ水のように芳醇に注いでくれる。

有名な杉の前では、写真を撮ってくださり、なぜかいつも目をつぶっている私だったが、
目が開いているかを確認しろと言うのは無理な話で、
彼はきちんと親切なのだった。
ヤクシカとも何度もであった。彼が「ほら」という先を見れば、黒っぽい毛皮の鹿がいる。
こちらをじっと見て、しばらくは逃げないが、そのうちぱっと白いお尻を向けて
行ってしまう。

残念だったのは、帰りにゆっくり覚えた屋久杉を見るぞ、と思っていたが、
ずいぶんと忙しい下りになったこと。
それは別の班、それは一日目と三日目をご一緒したご夫婦と
同じバスに乗っていた三班のうちの一つであったが、
女性客が怪我をしたため、ベテランガイドの彼もサポートをすることになった、
という理由でもあったが、そのためもありもう一度同じ道を来たいと思えたのは
いいことなのかもしれなかった。

女性客はかなり上のほうで怪我をされたらしい。
このあたりでは携帯電話も届かないので、トランシーバーでツアーガイドが
状況について交信していた。それまで今彼らがどこにいるのか、
どれくらいの混雑状況なのかを、こまめに連絡しあっていたが、
それ以上の頻度で連絡しあっていた。
屋久島の医療を支えている基幹病院である徳州会病院の救急車が来てくれると
いいのだが、という話をしていた。
見事な太さの腕のツアーガイドに、紐などもなしに負ぶわれた女性は、
顔をしかめておらず、捻挫みたいと同じグループの人たちと話していたが、
徳州会病院からホテルに戻ってきたときは車椅子で、要手術の骨折だったそうだ。
私達のガイドさんが、負ぶい紐を出そうか、と尋ねられたが、
いらないと答えられて、見事な足取りで下っていかれた。
岩場もあの状態であったのか、と幸田文さんの『杉』の描写を強烈に思い出した。
子どもの頃にヤクスギランドに行ってから、屋久杉は心に残る存在だったのだが、
憧れの気持ちをより高めたのは、朗読の先生にお借りした幸田文さんのエッセイだった。
私が魅かれる対象を憧れの人が素晴らしいと思っているなんて、嬉しい。
凄いに違いない、とこのエッセイを知る以前より熱は高まった。
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(1995/11)
幸田 文

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旅の後押しをしてくれたエッセイだが、今読み返すと自分の感じたことと、
憧れの作家の鋭い感性がごっちゃになってしまう気がして
とても読めない。つたないながらも、彼女の文章の力に強く影響は受けていても
自分の感じたことモノは、自分のものとして処理をする時間が欲しい。

同じバスの三班のうち、彼女の属した班のガイドが彼女を負ぶい、もう一人がサポートし、
その様子は私達も見たのだが、6~7人が一班のメンバー三班分は、
一人のガイドが引率して、山を降りたのだそうだ。

実際、途中でリタイアする人もいると、次の日タクシーの運転手から聞いた。
その場合は、歩けなくなった時点で帰りを待つのだという。
自分でやれるところまでやったという満足感からか、不満は出ないのだそうだ。
待っているといえども、素晴らしい緑に抱かれているのだから、
嫌な気持ちではなかろう。さっさと下山して部屋でダメだったと自分を責める方が、
悔いが残りそうだ。
ツアー参加の健康診断はない。自己申告であるから、
どのような客が来るか始まってみないとわからない。
拒むことも出来ないガイドは大変だと思った。

「縄文杉に逢いたい」というツアーではあったけれど、
実際は会った、というより、眺めた、という感じだった。
(握手することが叶った某Oさんのほうが、近い感じがする)
平成7年に一般客が近づけないように柵ができ、組まれたやぐらから眺めるスタイルになった。
多くの人々の足が根を踏み荒らし、中には傷をつける不届き物もいたという。
9つの傷を負わされた世界遺産は、現在は太陽光パネルで動く監視カメラで守られている。

縄文杉は確かに異形だったが、人慣れてしまったのか、
たくましさはそのまま、人を遠ざける感じはなかった。
離れた場所からなので、大きさも実感しにくい。
しかし、離れた後もあの幹のうねりが、寄生させている太古をおもわせるおおらかさが、
何かの弾みで網膜に浮かんでくる。
縄文杉のすごさは本物で、私は何かをあの樹に取られてしまったのかも知れなかった。
考えれば考えるほど分からない底知れなさに、自分の中に納まりきらない気持ちに、
しばらくはうなされそうだ。

先にも書いたが、下りは、特に他班に負傷者がでてからはたったかたったかだった。
そのお陰で、日のあるうちにたどり着いただけでなく、
荒川口から本降りになった雨にも当たることがほとんどなかった。
途中、ぱらぱらと着たので、雨具を上だけ羽織るようにガイドさんから指示を受けたが、
雨と言うよりは霰だったそうだ。

トロッコ道の終わりの休憩所で、初日にご一緒したご夫婦にお会いできた。
出発地点でお会いしてから、ここまで会うことがなかったが、
お二人とも疲れを感じさせない元気ぶりで、朗らかだった。

翁杉の顔のような姿をもっと見たかった。
時間が取れた三代杉で、念願の屋久杉に耳とくっつけることができた。
こけが頬に気持ちよかったが、残念ながら音は聞けなかった。
抱きつくのはカメラなどが邪魔で出来なかった、が、翌日別の杉が叶えてくれた。
水もとても美味しかったのでホテルで飲むために汲みたかったが、
水場も通り過ぎてしまったが、次の日に紀元杉横で飲むことが出来て良かった。
(タクシーの運転手さんが教えてくださったのだ)

杉だけでなく台風で落ちてきた恐竜の卵石や、台風におられた樅の樹など、
心惹かれるものがいっぱいで、感情が追いつかないほどだった。

屋久杉を伐採するために借り出された囚人のための防空壕や
公務員で形成された小杉谷跡の先進的な暮らしぶり、知りたいことが増えた。

明日がお祭りで、お神酒を届けに行くというトロッコを、朝、見送った。
トロッコ道は小杉谷橋手前で分岐して、別の山に行き、その後分岐点側の
神社におまいりするのだそうだ。
伝承も多くありそうで、興味を引かれることが、絶えない水のようにでてくる。

荒川口から一時間強掛かってホテルに着く。
雨は小降りになっていたが、すさまじい強風だった。
ツアーガイドさんにお礼を言って、ここでお別れ。
明日も朝からせわしないので、
添乗員さんはレンタルを扱っている店の開店前になるが、
何とかしますと言ってはおられたが、まだ時間があるので本日中に返却するため、
強風にあおられながら向かう。
お土産も少し買ったら、その袋ごと持っていかれそうな強風だった。
先日体験した台風のように、看板が倒されている。
ホテルに戻れば添乗員さんがロビーで帰りを待っていてくださった。
これぐらいは屋久島ではフツーなのだそうだ。恐るべし屋久島。
道理で屋久杉があんな格好になるはずだ、ガジュマルによる防風林が必要なわけだと
納得する。
満月のはずの月が、厚い雲に覆われて見えないのが残念だった。

今日の夕食も量が多い。
初日がとびうおなど屋久島尽くしなら、本日は鹿児島尽くしだった。
疲れて食事が進まないかも、という添乗員さんの心配を他所に、昨日より元気に食べて、
ホテルのお土産さんで親切な店員さんの木目の見方などの解説を受けながら、
小物を購入。万年筆が欲しかったのだが、
憧れてやまない屋久杉のものが手に入るとは思わなかった。
定価は知らないので見せ値かもしれないけれど、半額になると、
PILOTの書き味が選べる万年筆と値段がほとんど変わらない。
三本あるうち、大きいものが手に馴染んだので、
もっといいものは売れてしまったらしいけれどそれにする。
PARKERのインクは手持ちがあるので早速使ってみようと思う。
(ペン先にはGERMANYと掘ってあるのだが、イギリスのPARKERなのか??)
入っているカートリッジインクが、手持ちのものと口が違う。
万年筆コーナーがある専門店に持ち込んで、コンバータを探そう。

おなかもこなれたので、大浴場、なぜか貸し切り状態でしっかり脚をもみほぐした。
今日は湯上りの汗もなく、昨日の噴出すような汗は体調不良だったのだろうなあと思った。

明日は、7時50分出発。7時にご飯なので、6時にモーニングコールをセットして、
昨日とは違う轟々とうなるような風と粗い波の音に、別の場所にいるような気分で
12時に寝る。

(屋久島三日目に続く)

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たまり(ょ)

Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

何となくの傾向インデックス
・「某Oさん」や「花柄の君さま」などと表記させていただいている声優さんのファンなので御出演作♪
『おねがいマイメロディ』シリーズ(終了)
・『電王』以降のスーパーヒーロータイム
宝塚歌劇感想
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・医療破壊に関しては涅槃の境地にいけたらイイナ♪
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