お決まりの日々?

モモの節句でございます。

トランキライザーとしての本

心にできたささくれに、手当てと触れようとした手が傷ついて、
良くないループに嵌っていると思った。

時分で処理できない気持ちを、イライラすると言葉の型に入れ込むと、
幾分客観視でき、それに対する策を考える視点ができる。

心の動体視力に乏しいものは、自分の気持ちに振り回されている時には、
簡単なことでも見誤ってしまう。
心の慌てを落ち着かせる。そしてその場で深呼吸。
肉体の運動に伴って心のざわざわに少しの静寂ができる。

今まで慌てが満員電車の車両のように詰まっていた心に隙間ができて、
そこにぽっかり浮かぶものがあったりする。

今回のヒントはこれだった。
雀の手帖 (新潮文庫)雀の手帖 (新潮文庫)
(1997/10)
幸田 文

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天皇陛下がご成婚なされた年の、1月から書かれた100日日記は、
51年の歳月を経ても、全く古さを感じさせず、
51年前の幸田さんの細やかな感性は、鮮やかな言葉は、今にいる私の心に
とれたての新しい驚きをもたらししてくれる。

○万部売れたと話題になる作品は50年後にはどうなっているのか。
爆発的な力は50年後も残っているのか。それは分からないけれど、
時を経ても魅力を保ち続けているものこそが、私にとっての宝石だと思う。

私にとって幸田さんはまごうべきなきホンモノで、
見開き二ページで完結するエッセイに、今回どれだけ助けられたことか。
説教でもない、押し付けでもない。
ただ日常の細やかなこと、と流してしまう部分に、心をとらわれた幸田さんは、
そこに目を注ぎ、どうしてそのように思うのかと心を置いていく。
人の心の動きにはその人のそれまでの歴史があり、
幸田さんの人生の振り返りに、私の視点は連れられる。
短い旅のようだと思う。
旅の間は、非日常の刺激に、常日頃のうまくいかなさへの苛立ちが遠くなっているように、
二ページに書かれた文章を追っている間は、
耳の痛みも、それに関する心のささくれも、どこかにおいてきたようでもある。
痛いものは痛いし、不愉快には違いないのだが、
それらが私の中にドンと居座り、それらに支配される状態ではなくなっている。
一つのお話は完結した二ページなので、次のエッセイに目が移っていても、
なにか気にかかることが前にあれば、途中であっても、次のエッセイを読み終えた後でも、
スッとその部に触れることができる。
非常に具体的、映像的なエッセイであるので、どこにその話があったかと迷うことも無い。
気になることは次の瞬間に解決できる簡便さが、ささくれた心にも優しい。
身体の痛みに読むのがつらくなった時に、心が先をと求める長編心理サスペンスでも、
心理物でもない。小休止して、また読みたいと思った時に、二ページの最初から、
気持ち新たに入ればいい。

文庫本という形も便利だ。開いた状態で手のひら二枚のスペースである。
ゲームなどと違い、進行速度は私のコントロール下に完全にあるので、
他人様の邪魔になると感じた時などには、さっと小さくすることができ、
指一本を入れておけばいつでも好む時に再開が可能である。
また、『雀の手帖』の一つのエピソードはニページであることもいい。
目的地が近づいたと思った時点で、
その話を読み終え、本も仕舞い、降車準備をして、と、
「すっきりしまえた」「次のステップに余裕をもって進めた」という、
行動の気持ちよさをも与えてくれる。

思えば私が電車通学していた時分には、小さなゲーム機は出ていたものの、
それらは子供用であり、子供であっても大人であっても、
移動時間の友といえば本だった。
同じ世代の弟は、友を複数の小型ゲーム機に換えたが、
私はいまだに、指一本でオン・オフ自在の文庫本から離れることができずにいる。


私は手のひらに乗るサイズのメモを愛用しているが、
はがきにしても、文庫本にしても、
人間のサイズにあわせて、実に良くできた大きさだと、
しみじみとこのサイズが好きだと思った。
文庫本を開く動きは、合掌した手をそのまま開くのと同じ。

開いた状態で目の前にある両手は、顔を洗う時の状態で、
馴染みがあるという表現では追いつかない日常そのものであるから、
心の非常時にも落ち着きを与えるのかとも思った。

DSiもほぼ手のひらサイズなのだが、
多くの場合手前から向こうに蓋を返す動作で始まる。
それはジュエリーボックスや洋風菓子箱を開けるのに似て、
何かを始める、という気負いとワクワク感があり、
それはそれで好ましいのだが、心が疲れているときにはしんどいなあと、
ゲームが不得手者ゆえ感じてしまうのかもしれない。

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Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

何となくの傾向インデックス
・「某Oさん」や「花柄の君さま」などと表記させていただいている声優さんのファンなので御出演作♪
『おねがいマイメロディ』シリーズ(終了)
・『電王』以降のスーパーヒーロータイム
宝塚歌劇感想
・他ドラマなど
・医療破壊に関しては涅槃の境地にいけたらイイナ♪
リンク先=『麻生太郎オフィシャルサイト』さんスキー♪

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