お決まりの日々?

モモの節句でございます。

『秘密』 ♯07~09

力のある作品だった。

男女を入れ替えては成立しなさそうな作品だから、男だから、女だからと区切るのは好きではないけれど、あえてこのように書きます。

女って強い。

日に日に消えていく意識の中で、母は何を娘に伝えたのか。
そして、あるところで、娘と夫の未来のために、存在している気配を断ってしまう。
本当は事故の時死んでしまったはず、それが伸びただけ、というようなことを、「別れ」の時に言っていたが、
その後も、彼女の精神は残っていて、夫への愛情を抱きながら、再び長い眠りについてしまった娘の未来のために、娘が好意を抱いている男と結婚する。

……とするには、すっきりしない。
そこにあるのは、もっと壮絶な決意だ。


妻の心が守っていた娘の体に、宿っていた魂が目覚め、妻の心を追い出していったような「話」になっていたが、それ自体が、娘の姿をした妻と秘密を持って生きていく未来から、夫を開放するために打った芝居だったように思う。

二人は互いに今も愛し合っているから、それぞれ「自分が愛する者にとって幸せな道を選」んだ。
実際二人の肉体年齢は随分離れてしまったから、添い遂げるには障害が大きすぎる。

入れ替わりがわかった当初、妻は「いつモナミ(娘)が戻ってきてもいいように」と勉強に熱心に取り組むと同時に、娘の体で夫の性欲処理をしようとしていた。
もし、娘の精神が娘の肉体に戻ってくる可能性を、少しでも考えていたら、そんな残酷なことはできないだろう。
つまり、妻は、非常に早い段階で、娘の心は永遠に失われてしまっていたことを悟っていて、
そのうえで、自分が生きる方向と、今後の夫との関係を探っていたのだと思う。

志半ばで不慮の死を遂げた、娘の人生を引き継ぎたいという母親としての感傷、
姿は娘のものでも彼女に妻であることを願う、夫の希望を、受け入れたいという妻としての思いで揺れていた。
また、若い、能力がある肉体を手にしたら、今まではなかった可能性が突然開けたのも魅力的で刺激だった。

もし、夫が、娘の姿をした妻を、体を含めて受け入れることができれば、結末は違ったと思う。
しかし、事故から年月がたっても、彼はこの障害を乗り越えることができなかった。
「娘」として生きる妻と会話する男子生徒に、一人だけ若さを取り戻した妻自身に、激しく嫉妬した夫は、
精神のバランスを崩してしまった。

彼の弱さは、彼の長所、優しさでもあった。
事実を仕方がないと受け入れ、割り切り、今できることをと寸暇を惜しんで動いている現実的な妻に対し、
夫は受け入れがたい現実を先延ばしにしたり、ロマンめいた謎に心を動かして逃避したりしていた。
そういう感傷的なところが、結果的に、事故を起こした運転手の優しさに救われていた人たちの運命を、まるで後を引き継いだかのように、好転させ、彼自身の心も救ったのだが。

彼のそんなところも、彼女は非常に好いていたのだと思う。
しかし、彼が妻を強く愛しているゆえに、彼女は「妻」にもなれない、「娘」にもなれない。
追い込まれた夫は、食事をまともに取れないほどに憔悴している。
これからどうやって、二人が生きていけばいいか、考えに考えた結果が、
娘が戻ってきて自分は消えた、という、一世一代の大芝居、「秘密」だったのだと思う。

悩みぬいたらしい夫が、彼女を、事件後初めて娘の名前で呼びかけた。
それが、夫の出した結論であり、彼女の芝居開始のきっかけになった。

次の日、「ずっと眠っていた、何も覚えていない」と娘の心が現れた。
始めは短かかったが、徐々に娘でいる時間が長くなった。
(料理のレパートリーが乏しいはずなのに、急に料理上手になったりと、視聴者に疑問を抱かせる
エピソードも挟み、)
そして、夫婦思い出の地にて、妻の心は完全に消えた、と思わせた。

さらに年月を経て、娘の体から妻の意識が薄れていく過程で顔を合わせた、事故を起こした運転手の義理の息子と、「娘」は結婚することになった。

妻は、夫婦二人だけの秘密に、自分の秘密を足して、ひっくるめて自分だけの秘密にして、墓場まで持っていこうとした。
でも、他でもないたった一人愛する人だから、いつか、気づいてもらいたい。
私の「秘密」に、そして私は生きていて、今も貴方を愛していることに。
その思いが、彼女に、夫婦なじみの店舗を選ばせた。

「いつか」は、「娘」の結婚式当日だった。
妻が秘密の象徴である夫との結婚指輪を、「娘」の結婚指輪にリフォームした店に、
偶然、夫が新郎の義理の父の形見である時計を、再度持ち込んだことで、
夫は、娘の中に今も妻の精神が生きていることを知った。

夫婦二人だけの秘密である指輪の存在を娘が知っている。
二人だけの約束、と妻は言ったのに。
娘の体に、妻と娘の意識が交互にあらわれていた時期、二人は手紙やビデオで、情報交換はしていたが、
母親が父との結婚指輪を娘と別の男性のそれにしようと勧めるだろうか?
結婚という新しい関係になる二人なのに、あまりにも不自然だ。

「娘」の行動からその正体を察した夫は、「秘密」の理由を求め花嫁控室に飛び込む。

「娘」は異様な父親の姿に、まるで動じなかった。それが何よりの証拠だった。
目の前で、新郎が「父親」に本気で殴られても、新婦は眉ひとつ動かさなかった。
「娘」は妻だった。
彼の妻である彼女には、夫の気持ちは当然だと、わかっていたから。
それでも彼女は、彼の「娘」として嫁ぐのだと決意を固く結んだ唇で伝えた。

彼女の決心を受け取った夫は、ずっと外さなかった結婚指輪をはずして、
娘の姿をした妻と腕を組んでバージンロードを歩いた。
彼は二人の結婚式を思い出していたと思ったし、妻の意を汲んだ彼の「さようなら」の意思表示だと見た。
「幸せになれよ」と、彼女の背中を押して、娘の夫となる男に引き継いだ。

静止画のように張り付いた表情で、すべてを見せてしまった。

「娘」が二人だけの親子なのに、結婚前に、「部屋が決まったから」と先に出て行ったのは、
夫、今は父と離れる気持ちを固めるため。
夫との婚約指輪を、形を変えて別の男との婚約指輪にしてまで身につけ続けようとするのは、
彼女の心が、今も夫から離れていないから。一人だけの「秘密」にするには大きすぎる愛情だったから、
いつか、ずっとこれからも一番の彼に気づいて欲しかった、私はここにいます、と言いたかったのだろう。

妻は、ボーイフレンドと、一線は越えないと決めていても、若い恋のときめきに心揺らしたり、
クラスメートとの青春を再びとなかなか楽しそうであるのに、
夫は、女性からの誘惑があっても、逃げてしまうところも対象的だった。
そういえば、既婚女性の追っかけはよく見るけれど、既婚男性の追っかけは、夫婦共通の趣味でもない限り少ないような感じがする。(阪神タイガースの応援とちがい、コンサート会場に集結したり、空港にお迎えに行ったり、という「追っかけ」)
「秘密」を広い意味での嘘とするなら、それを含めて、妻の方が夫より、嘘や隠し事が上手だった。


役者の演技が十分なので、音楽で説明しなくてもいいのに、とくどく思うことはあったが、
引き込まれたドラマだった。
こういうドラマを作ってくれるのなら、地デジも価値がある。

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Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

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・「某Oさん」や「花柄の君さま」などと表記させていただいている声優さんのファンなので御出演作♪
『おねがいマイメロディ』シリーズ(終了)
・『電王』以降のスーパーヒーロータイム
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・他ドラマなど
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