お決まりの日々?

モモの節句でございます。

『Q10』♯07~09、「非実在犯罪規制」

『秘密』のラストに、あの違和感は、そういうことだったのか、とガーンと殴られた、ことはないので、後ろ頭を柱にしたたか打ちつけたような衝撃を受けた。
 「未来から来た」、「依頼人」、「ターゲットが平太」と要素が揃ったので、帰着点が想像できた『Q10』は、落ち着いて物語を、この世界を構成している印象的に作られたキャラクター達の心情を、上手に作られた虚構の物語、作者がいる安定感で楽しむことができた。

 女性が依頼主なら、対象の男性が別の女性の姿をしたロボットに向けられる態度なんて見たくないだろうから、彼女がモデル以外は考えにくい。そのタイミングで姿を見せたQ10そっくりの泣いている女の子。ああ、彼女が未来の依頼人なんだなあと、悲しい結末にならないことが分かった。
 清水玲子さんや亀井高秀さんのロボット(アンドロイド)ものが好きな私としては、最後まで永遠の命を持つロボットと有限の人間の、せつない恋物語であって欲しかったけれど、この作品みたいに別の形で終わっても良い、かな?

 主観が切り取る「日常」は、必然の集合体。平太の一人称、しかも過去振り返り方で進む『Q10』は、そういった小さなことの集合体。何か強く思っているときには、それに共振することが、大きな、特別なものに感じられる。一つ一つの偶然が、自分の道に重なっていくものに思える。その結果を知っての振り返りだと、特に、あれもこれもと印象的に記憶の中で光るものだ。
 一つ一つの偶然が意味を持つように感じられる、それらが小さな花びらが重なるように集積されていく。誰かの問題が、また別のだれかのそれと同時進行するように、シナリオは作られている。それぞれの思いが、経験が集まったポプリのように香り、それぞれの心を動かす。確実なあざとさでつながっていき、断定的な問いかけに他社が同意をする形で強化され、共有、確立されて、『Q10』の世界を構成していく。物語の世界は、エピソードが追加されるごとに、色を鮮やかに変えていく。凝集されたファンタジー。奇妙なほどに他社の経験が重層される、異常に鮮烈で濃い世界。でも、それでいい。ファンタジーだから、それが楽しい。
 この楽しさは、高河ゆんさんの漫画のよう。

 例の条例(「非実在犯罪規制」)。衆院選の時、「反対です」と表に出して、アニメ・漫画ファン票を引き込んで与党になった党は、いざ、条例が成立するか否か、という段になれば、手のひらを返して賛成した。
 なんだ、やっぱり票集めのためのパフォーマンスだったか。ニコニコ動画でも、ライバル党は条案に賛成していますが、我が党は反対です、という書き込みが多かったから、そうではないかと疑っていた。
 こんな条例通されたら、『妖精事件 (1) (アフタヌーンKCデラックス (629))』は規制されちゃうんだ。主人公のじゅりあは14歳で性交渉して出産しとるもん。でもこの話は14歳じゃないと成立しないの。18歳ならこの世界を構成している危うさ、妖精というファンタジーとは合わない。14という絶妙さ。掲載誌が『アフタヌーン』と青年誌なんだから、ゾーンをきっちり分ければいい。映画みたいにP12とか、しっかり決めていけばいいんだよ。
 ドラマでも映画でも演劇でも、日本のマンガを原作にしたものがどれだけあることか。それだけ力がある分野の勢いをそぎたいのでしょう。日本が「いちばん!」じゃ困る勢力が噛んでいるように思う。
 現実社会で犯罪とされている行為を、描くのは当然罪だ、という論調のようですが、殺人も傷害も窃盗も当然罪なので、それらの行為を描くことは罪になるのか。マンガ版『ああ無情』も規制されますな。
 
 表現したいものがあるから、書き手はエネルギーをぶち込んで描く。表現を規制されたら、そりゃあ、規制の中から生まれるものもあるかもしれないけれど、多くの作家は活動の場所を求めて、出ていくだろう。彼らは表現し続けないと死んでしまう人種だから、作家として存在できている。逆にそれだけの欲求がなければ、作家にはなれない。
 生きる場所を奪われれば、生きられる場所に行くしかない。
 結果、ジャパニメーションと造語が作られた分野は廃れていく。

 日本の誇るものをまた一つ奪うだけに終わらず、言論弾圧、検閲の強化、所持していることを逮捕理由とする邪魔者の社会的抹殺に持って行きたいようにしか思えない。

 『Q10』に話は戻して。
 記憶に残らない素材でできている、という説明だったけれど、記憶に残らなくても、彼女の言動がきっかけとなった周囲の人たちの行動の結果は残るし、現に、70年後の、記憶を失って久しい平太は、若かりし日の妻をモデルとした外見のロボット、Q10に記憶を蘇らせている。
 Q10の存在は消えていない。
 今回のQ10プロジェクトに手違いがあり、「月子」が乗り込むことになったと説明があったけれど、その分、未来にも影響が出ているはずなのだが、そのあたりの説明はなかった。

 物語の始まりは、秋で、終りは12月。
 先が長くないとわかった依頼人が、彼女とである前の夫の映像を切望する。彼女の姿のロボットと交流する昔の夫の映像が、リアルタイムで依頼人に送られるという説明があった。
 少なくても今回の過去介入では、Q10がまだ未来に帰っていない時点で、平太はQ10そっくりの女性と、記憶に残っていないのに、「証拠」が残っているQ10の話に笑い合っている少し先の自分の姿を見、未来から送り込まれた「月子」が引き合わせたように彼女と知り合いになっていた。
 自分と出会う3ヵ月前から直前の、いや彼女の死期がもう少し伸びれば、自分そっくりロボットとラブラブの未来の夫と自分が出会ってしまうことになるのだから、「商売」でそんなリスキーなことはしないよなあ。
 70年後の平太は、死を目前にした妻が、Q10の話ばかりするようになった、そして、若かりし日の妻の外見を持ったQ10に、「Q10」を思い出したと、18歳の自分に手紙を書いている。
 未来の妻と平太の出会いの時期を早めたのは、平太のクリスマスゆえの行動への、「月子」のお返しとしても、そんな簡単に、未来を変えても良いの?
 2010年の彼らは、「月子」の想定外のアクションをしたのに、その先につながる未来の結果は同じなの? パラレルワールドができてないか、ともにゃもにゃする甘いところはあるけれど、盛りだくさんで甘い「いい話」だった。佐藤さんはアップで表情の微妙な変化を見たくなる役者さんでもある。

 非現実的な世界、未来から来たロボットだけでなく、先生方もクラスメイトも家族も、極端な人たちの中で、境遇は変だけれど、ナチュラルな反応をする主人公が浮かんでいた、スポットライトを浴びているように。普通の喋りがナチュラルに聞こえる役者さんが、主役でよかった。

 Q10を泥酔状態で拾ってきちゃって、学校に放置した校長先生、Q10騒動の中心であった「困った校長先生」が、経済苦のため高校中退→弟を養うために、パン屋に就職した生徒の「信頼できる大人」の地位を行動で勝ち得たのが、温かく嬉しかった。自分に冷たい「世の中」への憤りを、校長先生の「椅子」にぶつけるしかできなかった男子生徒が、職場に、嘘をついてたかりにきた父親に、「信じている」目で自分からお金を差し出す。家もいつ彼らが帰ってきてもいいように、清潔な空気に満ちている。父親は自立して、正しく社会に居場所を見つけた息子がまぶしくて、嘘をつききれなくなる。これもまたファンタジーかもしれない。(子供から搾取することに何の罪悪感を抱かぬ大人の存在は私も知っている)。でもいいエピソードで、彼もまた『Q10』の主役だったと思った。

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『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
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