お決まりの日々?

モモの節句でございます。

月『バラの国の王子』/『ONE』(その1)

11時公演を見てきました。

座長公演の熱気に当てられて、疲れました。
一生懸命な方は素敵です、大好きです。
でも、抜きどころも大事なんだろうなと、自省をしつつ思いました。

この公演は、芝居もショーも苦手な持ち味の作家さんでしたが、
主演さんを中心とした月組の力はすごいなあと思いました。

とりあえず感想その1。いつものように長いでしょうから、分割します。


『バラの国の王子』

ちょっと前、HDDレコーダーの整理をしていたとき、
BS2の劇術劇場か、NHK教育の番組だったか、児童劇団の公演が映った。

丁寧なくっきりナレーションに、身体を大きくゆすっての発声。
「あれえ~~? どーしたのかなーー?」「おーい。みんなーー」
「お星さま~」
のような感じ。
移動公演を前提としたのっぺりとしたセットで、
ライトを当て、平面的なものを揺らして、客席子供たちの興味を引きつけているのかと思った。
遠の昔に大人になった私には、その、間延びした感と、記号的な表現、奥行きのなさが
しんどかった。
何かの作業をしながら見るのにはいいんだけれど。

それを思い出した。

くっきり記号的な登場人物。
奥行きに乏しい舞台装置。

ゆっくり丁寧なナレーションは、「~~~なのですーー。」と
音の変動は1、2音に抑えた音に載せての節回し(これを「歌」と評したくない)で、
歌う人たちを背景に、内容を示す人が移動する。
内容の一部をパントマイムのように示しながら、舞台を前後、もしくは、銀橋を渡ると、
その内容が済んだことになる。

その間、舞台の上の装置が変わるわけではなく、マントを脱ぐ以外の衣装が変わるわけでもなく、
とても省エネルギー(節約)。

「です~~」という響きは美しくない。
「夢なのです~~」より、「ゆ、めーー!!」とした方が、歌になる。
知っている歌を思い出しても、長い音の「u」を続けていくことは、あまりない。

心情を歌うメロディとのダイナミクスと、差をつける意図かもしれないが、
それならば、なぜ、あっさりとナレーションにしないのか。
「説明」をこの歌の意味にするならば、その方がより伝わる。
『スカピン』『ジプシー』と鍛えられた月組メンバーは、
コーラスであっても、はっきりと伝わるように、
言葉を並べていた(繰り返すがこれを歌とは呼びたくない)。
『スカーレットピンパーネル』のショー・ヴランが担当したメロディにのせて、
しかもコーラスなら、とても伝わらなかったと思う。
「~ですー」が終わった時点で、状態が変わっているから、歌詞が聞き取れないと理解できないからね。

あっさりとナレーションにしないのは、
それをすると、何が起こったのかを「絵」として見せなければならない時間が出来るためだと思う。
音を伸ばす歌だと、時間を稼げる。場が持つ。
「王様が退屈した」
という部分の芝居をしっかり見せなくてはいけないし、
「贅沢やかけごとに魅力を持った、結果暴君になった」という部分も、
悪い仙女にくっつかれて、マントを脱いだ、という描写では弱くなる。
『エリザベート』でのフランツ誘惑シーンぐらいを持ってくる必要が出てくる。
お金がなかったのだろう。


人はなぜ歌うのか。
私は、感情の高まりが自然とメロディになるのだと思う。
そこに言葉が乗っていく。
台詞で伝えられない気持ちが、メロディになる。

歌で紡いでいく表現方式があることは知っているが、
あまりにも平板にそれをつかわれるのは、私の好みではない。
(好みではない、と言っているだけで、存在の否定はしない)



主な登場人物は、

バラの国の王子(主人公)
その父前国王(故人)
その母(良い仙女)

叔母でまま母(悪い仙女、良い仙女の妹)
異母弟の現国王(前国王と兼役)

ベル(ヒロイン)
ベルの父
ベルの姉二人

主人公の家来=虎、猿、小鳥、……

国民代表の立ち位置の武官

なんて少ない主要キャラクター。
2500人の大劇場公演でなくて、500人バウ公演でOK。セットも少なく、地方公演にももってこい!

ただでさえ少ない主要登場人物のうち、芝居の中で何を考えてその行動をしているか、が描かれるのは、
主人公とヒロインだけ。

どうして、悪い仙女が元国王をたぶらかそうと思ったのか(なぜ姉の幸せを奪ったのか)の動機もない。

とうして、良い仙女が、息子を野獣に変えられても抵抗も、手助けもせず、
息子が失恋(思い込み)のショックで死にそうになっていても、
「やがて時が来ればわかります」「気づくのを待ってました」と静観出来るのか分からない。

身勝手で享楽的な姉二人と同じ生育関係のベルが、どうして違う性格になったのか、
彼女たちの母親の存在も見えない。

良い仙女と悪い仙女も記号的で、
その二人の間に子をなしたという王様がどんな人物であったのかもわからない。

悪い仙女に夫を寝取られ(平和は退屈→贅沢やかけごとが刺激的だから結婚というより、
 良い家族であるべしの無言の圧迫に疲れ、悪い仙女の享楽的な雰囲気にひかれたのでしょう)
追放され、息子も野獣に姿を変えられた復讐を、
野獣の息子が、悪い仙女の息子に勝つという姿でやり遂げた方が、
より徹底的にやっつけられる、という、完ぺき主義的なものを良い仙女に感じる。

現国王は、「他人が欲しがるものは何でも欲しい」と思う性格で、飽きっぽい人。
自分がナイのね。
女っ気も無くて、母親と親子というより恋人みたいにいつもベタベタくっついていて
気持ち悪い。
(♪何でも欲しがる、○○ちゃんというCMがあったなあ)

野獣にされた息子カワイソーと良い仙女までが母子密着シェルター化していたら、
現国王のマザコンっぷりが浮き立たないから、あえて放置しているのか、
息子も復讐の道具と思っているからなのかはしらないけれど。

主人公の命を大事にする家臣たち(動物)も、
人間時代の主人公が、だれにも愛されるような、優しく善良な王子だったから?と
推測するしかない。

セット化していない登場人物も、多かれ少なかれ、記号的にしか描かれない。

お金がないからセットが作れないのか?
劇団員をセット代わりに動かすのは、電気も使わなくて、
節電にもなるからいいね。

お衣装も少なくて、トップさんと娘役トップさん、二番手さんが二着? 
三番手以下は着たきり。
劇団の財布に優しい公演だね。


その、奥行きのなさが辛い公演で、
リアルな悲しみ、苦悩、そして喜びを表現して、ひっぱっているのが、座長で、
座長の熱演を受ける相手として、ダイナマイトでストロングなのが、ヒロインで。

前二作で鍛えられた集団演技、コーラスがあるものだから、
宝塚歌劇団月組、というよりは、芸能集団 霧矢組、だった。


劇団四季の『美女と野獣』もディズニーのも見たことがある。
しっかりと覚えていないけれど、そこでは描かれなかった、なぜ王子が野獣になったのかが、
「○○原作」と本公演の演出家が、出てくるたびに書いていたと印象がある、
『バラの国の王子』では描かれているらしい、というのに、期待していた。

その部分は、すべて、セットは動かずの歌説明だった。

あるところに、バラを愛する王と妃がいた。
薔薇を愛する王子が生まれ、理想的な家族形態であった。

王子が少年の時代に、父王が妻の妹と浮気した。
父親は妻の妹と結婚した。新しい妻はまもなく子供を産んだ。
父親はすぐに死んだ。新しい妻である悪い仙女に殺されたのかもしれない。

悪い仙女が抱く赤子と、少年の王子、どちらが次の王にふさわしいかと、
問うたところ、屋敷の者はみな王子に付いた。

怒った悪い仙女は、姉の良い仙女を追放し、王子と王子に味方するものを、
名前のない動物の姿に変えた。

ここまでが、すべて歌(?)で、歌の中で歌われる王一家と悪い仙女が、
今、節回しで説明されているのは、この人たちのことですよ、と説明的に動いて見せる。

印象が薄くて、記憶もまばらだけれど、こんなかんじ。


<見てるだけ~。その心が息子を信じてますでも、少しは悩め!>


悪い仙女は息子に助言したりそそのかしたり、アクティブなのに、
追放された良い仙女が、姿は現わしても動かないので、
彼女も体を奪われて精神体になったのかと勘違いしていた。

王子が変えられた野獣と動物たちだが、動物たちが立派な屋敷を作り(と説明があった)、
その屋敷には魔法の鏡があり、宝石がいっぱいある。
王子は仙女の娘だが、同じく仙女の娘である弟、現王が魔法とは縁がなさそうなので、
彼もまた、魔力をもたないはず。

憎しみや欲望で動く、悪い仙女が、追放の際に、宝石や魔法の鏡を与えるとは思い難いので、
魔法の鏡や宝石を出してきたのは、良い仙女。
良い仙女はどこにいるかというと、屋敷の上のほう(屋根裏部屋ではありません)で、
息子たちの様子を「見守っている」ように見える。

のちに、息子が食を断って部屋にこもり、死に向かう時も、
いくらベルが彼女自身の心にある感情を、まっすぐに見られてないと悟っていたにしても、
息子の野獣が3週間食を断っただけで死なない、悲しみや絶望でも死なないと見越していたとしても、
何もしないぶりは徹底している。
(変性して自分を捨てた夫への未練を微塵も見せなかったように、
 分からないような愚か者は、私の息子ではありませんという傲慢ささえ感じるほどだ)

魔法が解けて、王子に、そして新しい王になり、非常に寛大な美しい措置を取ったところで
「さすが(すばらしい)私の息子です」と、
息子同士の代理戦争で負けた妹にたいして、得意顔で出てきているが、
王子も家臣も、大后がいることに驚いたそぶりも見せない。

悪い仙女と現王みたいに
「あれほしいよ~、ママン」「ママンと一緒じゃなきゃいやだ」と
身体もべったりくっついているのも気持ち悪いが、
いくら素晴らしい素質の王子とはいえ、酷い境遇にいるのに、
夢ででも励まさないのはどうかと思う。

この素晴らしい私の息子ですから(誘惑に弱い王の血が入っていたとしても)、
大丈夫に決まってます、失敗するような欠陥品は要りません、のような切り捨て型の人なのか。

最初に出てきた、絵にかいたような幸せな家族、から気持ち悪かった。
王様が何を思っているのかわからない。
良い仙女が、「理想の王」「理想の父親」に王様をあてはめようと、細かくかくあるべし、
と縛るので、「平和すぎて退屈」というより、
「失敗は許されないのが窮屈」に感じて、
享楽的な「負けたっていいじゃない、ギャンブルなんだしー」「きちんとしなくていいのよ」
「父親であるまえに男よ」な悪い仙女の誘惑に乗ったんだと思う。

自分がない王様に、極端すぎてどっちもどっちの姉妹仙女。


そのほかのキャラクターにも「自分」がない。

もともと自分が楽しめることしか興味がなく、
父親はお金を運んでくるもの、妹は小間使いをしてくれる便利な子、としか思えない、
かわいそうな頭の姉二人。
イケメン好き、頭がいい人が好き、と遊びの延長で浮かれて結婚したら、
彼の容姿に比べて貶められ、彼の頭脳と比べてバカにされ、と
不満しかない結婚生活になり、
不満解消に、彼女らの夫と同じく、
誰かを貶めて幸せを得ようという卑しい発想しか持てなくなってしまった姉たち。

彼女ら二人とベルの母親が、どのような人物であったかわからないが、
父親は三人を区別しているようには見えない。
父親が貿易商人ということは、家を空けることが多かっただろうから、
母親が姉たちに似た性格であり、
彼女が亡くなった時に小さかったベルは影響をさほど受けなかったが、
結構育っていた姉たちは、母親の遊び好きの性格をプリンティングされたのかもしれない。

(王子と今の王だって、父親は同じだが、あれだけ変わってしまった)

ベルは、初めて屋敷に来た夜に、考えなしの自分と、これからのことを思って泣くが、
ピンチの時に「お母さん、どうしよう」と出てこない母親は、そんなもんだと、
個人的に思っている。

どうしようもない母親を諌められなかった父親が、好き放題の上の娘をどうすることもできず、
彼女たちが大人しいベルに、家事を押し付けて、ちょっかいを掛けるのを
叱ることもできない。

王子のお人柄が大好きゆえに、動物にされた家臣たちは、
その後も彼らの御主人様を第一に、御主人様が新しい主人はベルといえば、
ベルを主人に奉りと、御主人様ハーレムごっこに「遊んでいる」。
それは苦しみの中で見つけた唯一の救いの遊びかもしれないが、
動物の姿であっても、仲間がいっぱいで、尊敬できる人の傍にいるのと、
大嫌いな暴君の好き嫌いで命令され、道具として使われて、自分が壊れていくのを感じるのと、
どちらがいいかと言われたら、動物じゃないかな。

主人公二人以外の人たちってこんな感じで、記号っぽい。

ベルが可愛い結婚し隊とか、
彼らとダンスをするシーンのために出てくるベルみたいな少女たち、は記号や舞台装置。

商売に失敗した貧乏な商人の娘に、夢中な若者は群れで出てくるが、
舞台中で一、二を争う美形の王様の妃になりたーいと騒ぐ女性もいない。
王様がベルを妃に、と求めた時も、
「ベルは王様が嫌いだから断るよ」結婚し隊姉がさらりと言い切るのに、
どれだけ嫌われているんだ王様、と苦笑した。

変な色気がある商人の不幸な結婚生活とか、
姉に非常なコンプレックスがある妹仙女の成育歴には興味がないわけではないが、
主演二人の生命力にぶっ飛ばされて、この二人を見ていればいいや(その方が楽しいもの)と
思わされるのは、大劇場公演としてはどうなんだろう。

過去に、脇役の人目当てに大劇場公演に通ったことがあるけれど、
独自のドラマが描かれるわけでもなく、
主人公ら中心人物の心的変化に絡まない役のときは、
結構つらくて、出番がない時には寝てました。


主演さんの話をします。(その2へ

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たまり(ょ)

Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

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