お決まりの日々?

モモの節句でございます。

花『ファントム』(2011)二回目



夏にふさわしく、「幽霊」話を見てきました。二回目。



初演、再演と何度も見た話、なのだけれど、
2006年の再演から今回の再々演を見る7月21日までの間、
春野さんの退団CD群に入っていた『ファントム』の歌で、
可哀相な生い立ちのエリックが、愛に満たされて死んでいく話、よかったねとイメージが作られていて、
すっかり「変な話」という認識を薄くしていました。

再々演のmy初見、7月21日に「変……」と思いだしたら、その部分が引っかかり、
二回目ではその「変」と思った部分を確かめたくなるのが、変じゃない心の動き。

あれ?と感じた部分につながる部分を、今度はしっかり見れば、やっぱり変だ。

再々演のファーストコンタクトでは、以前との違いに捕らわれてしまって、
分かりにくかった「変」の部分が浮き上がってきた面もあるのでしょう。

そんなわけで、たった4日前に見た公演だったのに、前と変わった印象を持った部分があって、
お話自体は大変、変だけれど、別の意味で興味深かったです。



1)ヘタレ=キャリエール

38歳(my推定)のくせに弱すぎ!

今回初めて、キャリエールの年齢が気になった。
初演の樹里さん、再演の彩吹さんは、落ち着きがあったので、
「若い」という認識が無かったのだが、
トラブルメーカーゆえくぐってきた修羅場で精神的には老成していたとはいえ、
一人称がボクのエリックを10代の青少年とすると、
キャリエールは高めに見積もっても38歳。

キャリエールが18歳で、支配人見習いをやっていたときに、
劇団のダンサーであるエリックの母と知り合ったとする。
キャリエールのはなしっぷりでは、天使の声に夢中になって、それほど間を空けず
身ごもったようだから、エリックの父となったのは19~20歳。

蘭トムエリックの推定年齢を、キャリエールがエリックの母と知り合った年齢、18歳とすると、
壮キャリエールの年齢は37~38歳ぐらい。

「愛する息子」であり「宝物」の命が危なくなったというピンチに、
持てる力以上の死に物狂いで警官に立ち向かっている設定なのに、
すぐに膝をつき、地面を這いまわっている38歳。弱ッ!
息子は18歳(推定)で若いとはいえ、瀕死の重傷でも、無我夢中で火事場の馬鹿力を発揮し、
シャンドン伯爵も複数の警官もなぎ倒していくというのに。
この公演では、シャンドン伯爵とキャリエールの年齢差の方が、伯爵とエリックより
少なさそうに見える(※(7)で、実は22~25歳ぐらいかとmy推定)こともあり、
愛する少女のために狂人と戦う伯爵さまの強さと、
愛する息子のために戦いたいのに、地面と仲良しになっているキャリエールの弱さの差が悲しい。

このキャリエールなら、
「その時私はすでに結婚していたのだ、ガーン」のアホさに納得は出来る。
愛が無い結婚だから、妻のことは忘れたい、が高じ、ホントに忘れてしまったのだな。
こんなアホが好き勝手に支配人をしていて、よくオペラ座がつぶれずに、
どころか、愛が無い妻への仕送りをしながらエリックの生活費を出せるだけの
利潤をたたき出していたものだ。

さすがヘタレ専科。
愛する宝物のピンチに何もできず、地面に這いつくばっている姿が、哀れで大変美しいです。

東京ではますますヘタレ度が加速して行くのでしょうか?
さすがヘタレ専科、魅惑的なヘタレっぷりだと讃えたいところだが、
キャリエールとして、それはいいのか?

えりたんかわいいよ、えりたん。


(2)ヘンタイ=ファントム

母の声を反芻し、母の肖像画に安堵し、
母と同じように自分を愛してくれる人がいつか現れるかもと夢を描いているエリックは
重度のマザコン。

さて、いざ、母の声、母の姿に重なるような、生き写しの少女が現れると、
さっそく肖像画そっくりの服を用意して、母のコスプレをしてくれないかとワクワクしている。
ビストロデビューの時に用意した、やたらといい、白い服も、母の肖像画の服を豪華にしたような
ものだった。白いドレスのクリスティーヌに、ママそっくりと胸を高鳴らせ、
母に生き写しのこの少女に、次は母の扮装をさせて、母と同じように自分を愛して欲しい、
と強く願っている、
精神に失調もきたしていない青年(ファン蘭トムの場合)。
気持ち悪いです。

タイターニアの衣装のまま、クリスティーヌをさらってきたはずなのに、
船から降りた状態では、母のコスプレ扮装である。
楽屋着にしては華美なこの衣装を、ファントムが楽屋に用意していたとしても、
エリック先生を裏切った舞台を壊してしまったと失意のどん底にあるクリスティーヌが、
着替える余裕はなかったはず。

「僕のクリスティーヌ」と所有格をつけて固執しているエリックが、
普通の青年である従者たちに、クリスティーヌを着替えさせるはずがない。
クリスティーヌを着替えさせたのはエリック。

精神に失調をきたしていない青年が
「さあぬぎぬぎしましょうね」「次はママの服だよ」
と、クリスティーヌでお人形遊びをやっていると思うと、ゾーーーッ。

春野エリックは、幼児返りしていたので、でかいなりをしていても子供か、
ママが恋しいんだね、と思えたが、
クリスティーヌが毒を盛られるまでの蘭トムエリックの描写は、
礼節わきまえた正しい青年であったので、その後のヘンタイ行為で、
実は、エリックはマザコンの変質者だったと分かるのが、とても怖い。

正しい人の、秩序だった正しいヘンタイ行動って恐ろしい。

二幕で、クリスティーヌそっくりの母の実物大全身肖像画が出、
エリックにさらわれたクリスティーヌが肖像画と同じ格好をさせられていることとダブルで、
エリックのそれまでの正しく見えてきた行為が、
重度のマザコンゆえのものだと分かって、ぞーーっとする。

非常に残酷な犯罪行為をして捕まった時、ご近所の評判をワイドショー(?)などが
顔や音声に加工を加えて
「礼儀正しい青年でした。まさかあの人が。信じられません」というコメントを
とってくるものだが、そんな感じ。

身体的な理由により、地下の秘密基地に住むことを余儀なくされているが、
エリックは、何もできない浮浪者に住む場所と、職業訓練をさせ、
素人娘の歌の素質を見抜き、レッスンをして、デビューさせた立派な人に見えたのに、
まさか変質者だったとは。

また、服が変わっているのに、動じないクリスティーヌも変。
クリスティーの年齢は(14~)16歳ぐらいか。
キャリエールに出会った後の肖像画と、同じぐらいの年なので、
子供を産める年齢ということにしたいので、16歳ぐらいを希望。 

関係ないが、一幕最後の小舟のシーンで、クリスティーヌの足首が90度に曲がっているのか
(直立した状態のまま横になっている?)、揃えられた白い靴底がウサギの耳みたいに立っているのが
シュールで、笑ってしまうので見ないようにしている。


3)クリスティーヌは、ボクの顔をみたからボクのものだ。(エリック理論)

母は、ボクの顔を見たから、ボクのもの?
キャリエールは、僕の顔を見たから、ボクのもの?
化け物、二目と見られない顔と説明されているのに、
見慣れてしまっていちいち反応もしない従者は、やっぱり絶対ボクのもの?
(カルロッタの衣裳係は、ボクの顔を見たからボクのもの、だけれど、
 好みじゃないので、返品したのかしらん)

若キャリエールが変な声をあげてのけぞり、幼エリックが何カ月も泣き喚き、
クリスティーヌが恐怖のあまり逃げだし、「助けて助けて」とすがったほどの、
バケモノフェイスに慣れて、仮面なしでもへーぜんと接しているどころか、
キスできそうな至近距離で仮面チェンジまで手伝っている従者って、スゴイ。


4)38歳(推定)美中年のたらし光線

怪しい大道具の影など、警官が調べようとするのに、二度とも手で制して
下がらせてしまえるキャリエール。
警官はキャリエールの不適切な色気に惑わされているのだろうか。

対息子の恋人にも、対息子にも、無差別にたらし光線を放出している美中年が怖い。



5)軽率なキャリエールが、自分が夢中になった女性が生まれ変わったような
クリスティーヌに、惚れないことがあるだろうか(反語)

(4)の続き。

すでに結婚していて、教義ゆえ離婚もできないとわかっているのに、
惚れた、と思えば突っ走って、妊娠させちゃうような軽率なキャリエールのこと、
息子が好きな女性、と分かっていても、止まれないでしょう。

さらに、息子は容姿の問題でヒッキー、一般社会に適合できない上に、犯罪者。
彼女を幸せにできるはずがない。
「娘さん、あなたはここにいてはいけない」
とエリックから引き離した後は???
(エリックと似ている目元をアピールして、恋仲になりますか?)

無自覚に危険な色気をダダ漏れさせているし、本当に困った美中年だ。



6)カルロッタ殺害後の加山雄三。

カルロッタをなぶり切って血を飛ばし、最後はぐっさり剣を突き刺し、
それなりの返り血は浴びているはずの赤い衣装は着替えず、
従者を呼んで仮面だけを交換し、ヘアスタイルを整えて、
「ぼかぁ、君といる時が一番幸せなんだ」と若大将してご満悦のエリック。
宙「ファンキーサンシャイン」の昭和メドレーのせいか、
蘭トムエリックに貫禄があるためか、加山雄三にしか見えない。

その後、クリスティーヌの呪文詠唱に身体硬直し、操られて仮面を外した結果、
よわよわしいのか強烈のか分からない不思議な音声とともに、クリスティーヌは去っていく。

ママと同じようにあなたへの愛があるからヘーキ、大丈夫よ、ほほ笑むことができるわ、
信じて顔を見せて、何度も何度も繰り返したのに、
いざその段になれば、大ダメージを食らったようにふらふらと、でも失神することなどなく、
ちゃっかりとと立ち去る姿に、
愛されていると思ったのは幻想だった、ママのような愛が無いからヘーキじゃないんだ、
ママのように自分を愛してくれる人は、この世の中にはいないんだと、
ファン蘭トムは絶望の声を大きくあげる。

そして、次の登場シーンでは、赤の豪華衣装から、青紫にチェンジしている。

気持ちを落ち着け、「顔を見たからボクのもの理論」に達し、
「君こそすべて、クリスティーヌ」
僕には彼女しかいない。「逃げた」という彼女の自由意思など関係ない。
彼女は僕のモノ、僕のお人形なんだから、僕のところにあるべきだ、
とクリスティーヌ捕獲を決意し、そのために華美な衣装から動きやすい服に着替えたのなら
その本気が相当に怖い。

ファントムのピンチであるのにかかわらず、従者が補助にあらわれないことから、
ファントムがクリスティーヌを探したのは、彼女を地下に監禁するためではなく、
怖がらせてしまったことを謝りたいという思いからの単独行動なのだろうが、
そのため真っ先にすることは、着替えか?

カルロッタ殺害の後の血のりべた~~りの服で、へーぜんと牧歌的デートを堪能していた
と思うと、ファントムの精神状態が不気味です。

君をいじめたカルロッタを殺したんだ。これがその証拠の血だよ、
ほめて、と見せていると解釈しても、相当に気持ち悪い。(猫がネズミを捕まえて飼い主に見せるようなものか)

……宝塚歌劇の『ファントム』は、愛のお話♪とされているみたいだけれど、
要所要所は結構ホラーだと、精神がまともで純粋な好青年に見える主人公の今回、
初めて思ったのでした。
(初演は、快楽殺人の二重人格を疑わせる狂人だったし、
 再演は精神が子供の状態で止まっている発達異常者だったので、こんなにホラーとは思わなかった)

地下生活であっても、浮浪者の再教育、ダンスレッスンや肉体の鍛錬、
慣れた感じで地上へ抜け出しての気晴らし(?)など、そこで生きる意味を見出して、
それなりにenjoyしているようなファン蘭トムだから、
クリスティーヌに拒絶された後、一転して突き進んでしまう狂気が怖い。

地下で鬱屈、いじいじ、暇つぶしのいたずらにモノに当たっていたような
幼稚な神経のオサファントムが、クリスティーヌしかいない、とのめり込むのは、
その幼さゆえ、納得してしまったのだが。



(7)シャンパンの王様はシャンパンの飲み過ぎで耳をやられたのだろうか?

天使の歌声??

エリックとキャリエールは、一人の女性へのこだわりが異常に強いので、
似てる!と思った瞬間、脳内補正がひどく働き、結果、
蘭乃クリスティーヌの歌声に、彼らの脳内にある「天使の声」が、
瞬時に上書きされているのかもしれないが、
フィリップ伯爵をはじめとする、ふつーの人たちの耳は変。

フィリップ伯爵はキャリエールと同年代が少し若いぐらいかと思っていたが、
それだと、パリで知らないものが無い歌姫の存在を知っているはず。
クリスティーヌの姿や声に、すぐにエリックの母である彼女を思い出したはずだが、
その様子はないから、35歳ぐらいに見えるフィリップ伯爵は、22~25歳ぐらいに違いない!
(それぐらいにしておかないと、推定年齢(14~)16歳、娘でもおかしくない年齢の少女に
 入れあげている「ロリコン伯爵~」(ルパン三世カリオストロの城の、ヘンタイ伯爵)で
 痛いです。) 
25歳でアルコールで神経をやられている彼の酒量が、恐ろしい。

天使?に入れあげるのなら、オーベロン王の役者に惚れとけ。ホモでもいいわ。

50代のふくよかなフィガロ(母の歌の先生)@『フィガロの結婚』でも、
歌声がよいので脳内で補正できるが、
蘭乃はなさんが大変な美少女だとしても「天使の声」への脳内補正は、私には無理です。

なので、「天使の声」というワードが出る度に、
増えていく大量のクエスチョンマークに、容赦なく現実世界に引き戻されるのです。辛い。


(8)アラン・ショレが羨ましい。

アラン・ショレが、私の願望がそう見せるのか、ますます妻、カルロッタにメロメロに
なっておりました。羨ましい羨ましい。
初演、再演のアラン・ショレは、カルロッタの恐怖政治の犠牲者、という感じで、
カルロッタの死によって解放された、というように思ったのですが、
気の強いところもかわいい妻に、振り回されて幸せ~な再々演のアラン・ショレの、
「妻が~変わり果てた姿に~」は、この公演での個人的に最も涙腺にきたシーンでした。

「(君は)つまり冬だ」「なんですって!」「やっぱり春だ。春そのものだ!」
のピリピリシーンも、冬って言ったら君が口をとがらせて怒るかな、って思ったんだ。
怒った顔も最高にキュートだね、ダーリン、のいちゃいちゃに見えちゃう私が末期なのか?
だって妻がやりたいってゆーんだもーんとデレデレのデッレデレのアラン・ショレに、
夫は私の言うことは何でも聞いてくれるのよ、うふん、私幸せよ~のカルロッタは、
とてもお似合い。

エリックは変質者、キャリエールはヘタレ、伯爵はアル中のロリコン、
クリスティーヌは慈愛と真逆の自欲の人、
エリックの母はあっちの世界にダイブ(エリック母は過去二回の公演もそうだが)、
と私が感じてしまった再々演で、
唯一わかる気持ちいいカップルがアラン・ショレ&カルロッタでした。

フィナーレの赤のドレスと紫のドレスでの、娘役群舞の一花ちゃんは、
本当に小さくて、あのカルロッタの大きさが嘘のよう。
カルメンリハーサルの衣装での身体の薄さにも、細ーと思ったけれど、
同じ衣装で、同じ振付で踊ると、小さい身体から爆発的エネルギーがあふれていることが分かります。


(9)千秋楽でした

一幕、パリの街での「メロディメロディ」の後、下手に引っこむクリスティーヌが
スカートの後ろを踏んだかのように、尻もちをついていましたが、さすがそこは、
舞台慣れした主演娘役、何事もなかったかのように立ち去り、後に影響を残しませんでした。

二幕、キャリエールとエリックの親子銀橋デュエットで、
キャリエールが大きな息子を受け止めようと、頑張る気持が身体表現になったのか、
(4日前より苦しそうだった歌声をカバーするため、ボディーランゲージで訴えようとしたのか)
のけぞるようにして手を広げていたのがツボでした。
壮キャリエールは確かに考えなしのアホだが、アホなりに、息子を精いっぱい
愛していたんだなあと思わされました。


フィナーレぐらい、退団者にコサージュを付けてくれたり、
ライトをくれたりするかと思ったら、ずいぶんとあっさりで、さびしい思い。

今回の公演で、おおっと思った娘役さんが辞めていかれるのは残念です。
ご挨拶もしっかりした声でなさっていました。東京公演も頑張って!

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たまり(ょ)

Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

何となくの傾向インデックス
・「某Oさん」や「花柄の君さま」などと表記させていただいている声優さんのファンなので御出演作♪
『おねがいマイメロディ』シリーズ(終了)
・『電王』以降のスーパーヒーロータイム
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・医療破壊に関しては涅槃の境地にいけたらイイナ♪
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