お決まりの日々?

モモの節句でございます。

月『アルジェの男』 に関係する妄想4

ジュリアンについて、いろいろ妄想を書いてきたけれど、抜けている部分があるので補足。
(9月2日に追記)



<パリのシャルドンヌ夫人の夜会>

生意気な小娘を見返して、アッと言わせてやりたい。
彼の上に向かう動機付けをあたえる娘、着火剤のようなエリザベート。

「こんな品の無い運転手は嫌よ」
「嫌だ」「やるんだ」と、ボランジュさんと押し問答していたジュリアンの気持ちが
エリザベートの言葉でガッと動く。

アルジェでジャックに「お前は腕が良いんだろう?」とあおられ、
危険な賭けに打って出たのに似ている。
ジャックもエリザベートも、ジュリアンを怒らせて、動かすのが上手い。
ボランジュさんが、大きな声で怒鳴っても、承諾しなかったジュリアンが、
たった一言で、ですよ。

で、まじめに精進を重ね、
「エリザベート、運転手変わったの? 今度の人素敵ねえ~。うらやましいわ」
「身分が違うといっても、ふらっとならない?」
なんて言われちゃってたんだろうな、と想像。

さて、シャルドンヌ夫人の夜会にて。

大物級がそろう夜会に出るのはエリザベートも初めて。
ボランジュさんは、ジュリアンを社交界デビューさせ、相当名を売ってきたけれど
(そしてその度に、うちのジュリアンはすごいでしょう、鼻高々になっているところが容易に想像できる)、
ジュリアンもこれほどの大規模なものに出席するのは初めて。

事前に、あの子、口では強気ですけれど、気が弱いところもあるのですよ、
ジュリアン、よろしくね、なんて、ボランジュ夫人のお願いもたっぷり、
うちのジュリアンのお披露目とうきうきしているボランジュさんの期待もたっぷりの重圧の中、
エリザベートが美しく見えるように、完璧なエスコートをこなす婿殿(絶対希望!なんとしても)の姿に、
ボランジュ夫妻は目を細めている。

エリザベートとしては、
デビューの不安をジュリアンのパーフェクトサポートがなくしてしまった分、
自分の彼に対する気持ちに向き合わざるを得ない状況で、
自分がドキドキしているのに、ジュリアンが平然としていて見えるし、
周りがジュリアンの素敵さをたたえているようなのも面白くない。
(なによ、みんなジュリアンジュリアンって! 私のデビューなのに。
 それにどうして、こんなに胸が苦しいの、気持ちが急ぐの? 許せないわ)

自分の速い鼓動が、彼の手を通して分かってしまっているように思え
(あれだけ密着していたら伝わるわな)、気持ちは焦る。
ジュリアンは優しくサポートはしてくれていて、顔は彼女のほうを向けられていても、
視線は、彼女の後ろにある彼が憧れていた「パリ社交界」を見ているようなのも癪に障る。
憎まれ口をたたかずにはいられない。
「余裕たっぷりね」

ジュリアンとしても、失敗が絶対許されない場なので、
ぴりぴりとした緊張の中を渡っており、
エリザベートに、「きれい」以外の感想は抱きにくいと思うのだが、
自分の思い通りにならないとキーッとなる、
エリザベートの青さがかわいいとおばちゃんは思ったよ。
(エリザベートと踊る時、支えている手を彼女が楽なようにすっと動かすジュリアンさんの
 手の甲が力強くとても魅力的なのもマイツボ)

とはいえ、中央で踊り、皆の噂のジュリアンを品定めする視線が、
賞賛のため息や熱い視線(一番熱いのはミッシェル)に、すっかり変わったことと、
成功に安堵し、ちょっと余裕ができてくる。
この夜会のメインゲストは、最後に紹介されたボランジュ一家。
その中でもお披露目になるエリザベート。
誰よりも豪華なドレスに身を包んだエリザベートはとてもきれいで、
彼女のような「とびきりの女と踊る」ことが、5年前の夢だったと、昔を思いだす。
ここまできた達成感と、自分は正しい道を歩いているという安心感、
プライドが正しく満たされていくのを感じる。

余裕ができると、自分の腕の中で鼓動を早めているのを隠そうと、
憎まれ口で抵抗するエリザベートが、かわいく思え、
顔を近づけたり、強く抱き寄せて、からかいたくなる。

エリザベートを演じる方は、そんなに表情を変えているようには見えないのだけれど、
どぎまぎさせられる私の気持ちが重なるのか、態度から気持ちが透ける。

エリザベートはジュリアンを突き飛ばすような勢いで、逃げていった。
ああ、ツンツンと全球を跳ね除けられるのも疲れるな~と思ったところに、
登場した、優雅な身のこなしの身分の高そうな少女。
彼の一言一言を素直に受け取り、喜ぶ少女の姿に、安らぎを覚えるジュリアン。

彼女が置かれた境遇の「弱さ」が、彼のヒーロー気質をそそる。
お話の展開上、ジュリアンはアナ・ベルの恋人になったけれど、
彼がエリザベートのいい人になってしまっていて、その立場になれなくても、
アナ・ベルには全力で優しくしただろう。

ミシュリューが登場して、上司の敵だということを、
顔の汗をハンカチで押さえながら(演者さん、すみません。myツボなのでv)、認識する。
観客は、彼やボランジュが身をおく政治の世界は、魑魅魍魎うずまき、
正当な手段だけでは難しいのだなあと、感じることができる。



<下町には何が待っているのか?>

下町出身のジュリアンちゃんには、
上流社会の人たちがなぜ、あんな汚いところを好むのかは分からない。

下町の裏の泥をしらない、うわべだけなら、楽しいのかもしれないな、と思いながらも、
彼らの懸命の誘いを聞いている。
そのうちに、彼らが「楽しい下町に遊びに行きたい」のではなく、
「下町に、“大好きなジュリアン”を案内して、楽しんでもらいたい」のだと気づく。

こうなると、彼は断れない。
彼らの期待に応えて、
「下町こそが、パリの魅力だよね。そんな
 下町には、何が待っているのか!? 楽しみだなあーららら~~ん」
なんて言っちゃう、ええ声で歌っちゃう。

かわゆいなあ、ジュリアン。


アナ・ベルとのくだり、エリザベートを屈服させてのニヤリについて、
ジャックはドブネズミだ、だから駆除しても良いんだの欺瞞、
サビーヌの行動に打たれて、爆発してからのラストへ向かう部分については、
さんざん書き散らした覚えがあるので省略。



何かを得れば、何かを失う。

ジュリアンはアルジェに留まれば、パリに出なきゃ良かったのか?
否。
命は長らえたかもしれない。
だが、登っていく充足感は得られなかっただろう。

俺の居る場所はここじゃない、こんなところで終わってたまるか、と
不満と怒りが、年を重ねることであきらめに置き換わっていっても、あったろう。

アルジェでサビーヌとともに暮らして得られるのは、
「傍にいると安心する」こと。
これはとても幸せなことなのだけれど、
ジュリアンは内に抱えたエネルギーが大きい人なので、安心だけでは幸せを実感できない。

ジュリアンの性質は、アルジェ時代に選んだ「すり」という仕事にも現れている。
誰かと、自分と絶えず勝負することで、彼は自分のなかのいらだちを昇華させていた。

「命なら二番目さ」
「命なんてただ生きてゆくだけのものじゃない 何かをするための力なんだ」

源頼朝@高河ゆん著『源氏』(下も同じ)

それはアナ・ベルにも言えること。

「生きているだけなら 死んだってかまわない
 ――というのはね、義経
 ただひとつの 命かけられるほどの 何かをみつけたい
 ――ということだよ」


彼女は、ジュリアンに命がけの恋をしたのだ。
ジュリアンへの恋により、彼女は新しく生まれたようなもの。
だから、恋が終わったら、生まれ変わった彼女は死んでしまう。
そして、ジュリアンを知らなかった過去には、もう戻れない。
生まれ変わる前の状態には、戻れない。
思いつめている人にとっては、死ぬことよりも辛いことかもしれない。

「命なんて大切じゃないよ
 生きてくだけなら 死んだって かまわない
 愛されているから 命の価値があるのさ
 愛してるからだよ
 そんなこと 俺は 知ってる」

江端克己@『源氏』(下も同じ)
教会でのやり取りを聞いて、ジュリアンに愛されていない、と思い込んだ
アナ・ベルは、愛されていない命をつなぐ意味はないと直結した。

天よりも 星よりも 大事な人
あの人が いなければ
この世は 何の意味もない


心には時という薬がある、時ののちにジュリアン以外に特別に思える人が現れるかもしれない、
が、彼女にそれを与えられる人材がいなかったのが不幸だったな。

ジュリアンとアナ・ベルは、純粋でまじめすぎて要領が悪いところが、
兄妹かと思うように似ている。
ジュリアンもアナ・ベルのことを、かわいい、守ってあげたいと思っていたのだろうな。
(あの人達、遊ぶってことが、できなさそうだし)

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Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
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