お決まりの日々?

モモの節句でございます。

月全ツ『我が愛は山の彼方に』が面白くなかった理由

(11月20日に見た、月組全国公演の感想の続き)

『我が愛(略)』が私にとってキャッチーな物語に思えなかった理由を考えた。
お金払って面白くなかったら、その理由を考えて消化しないと落ち着かない貧乏性なんだろう、
「植爺だから」と片付けるには、主演さんに思い入れと抜群の信頼感があることもあり惜しい。
(『パリの空よりも高く』は好きだしね)

面白くないのは、
主要キャラクターの説明台詞で場面が進んでいく、紙芝居以下の舞台転換にもあるのだけれど、
根源は、ヒロインに魅力を感じなかったこと。

この物語では、かわいこちゃんじゃだめ。(『パリの空』はかわいかったらOK)
将来を約束された大人物二人が、彼女との出会いで人生を狂わされるのも仕方ない、
と納得させられるだけの魅力がないと、
素敵な人二人に愛されて困っちゃうわ~、何でもありの脳内妄想物語になってしまう。


万姫は、
有能な男が、彼の人生をささげても悔いはない、彼女の心を救うためなら
この身を、そして軍師としての彼の両肩にかかっている、国の将来をも捧げてもいいとまで
平伏させる抗えないファムファタールであることを、見るものに納得させなければならない。
(秀民は、自分は軍師であるから国のために命を捧げると明言していた)

万姫が奇跡的にアホだったからスパイになりえなかったけれど、
陣営内を好き勝手に二年間うろつき歩けていた女が、母国の将軍の妻になるんだよ。
つつぬけじゃないか。
万姫を生きて秀民のもとに戻すことは、情報がつつぬけになる危険大だ。
チャムガは彼女がアホだと見抜けていたのかもしれんがな。

秀民は、彼の作戦の成功で、自国が圧倒的有利であるのに、
袋のネズミの敵将に単独で会いに行くし、敵将の命を助けるために一騎打ちを願い出て、
止めを刺さずに、勝利の褒美にと身柄を譲り受け、解放しようとする。
窮鼠猫を噛む。
粗野で乱暴で略奪の限りを尽くすことは、先の戦いで証明されている敵国の、将とその周りが奇跡的に
紳士的であったから良かったが、命がかかっているんだ、ルール無用と暗殺でもされたら、
暗殺はなくても、袋のネズミから大将同士の一騎打ちで勝負を決することになり、
有能なチャムガが秀民を倒しでもしたら、自国の勝利も危うかったろう。

二人の破滅的な行動を納得させるだけの魅力、
『エリザベート』のエリザベート、『血と砂』のドンニャに匹敵するような、
この女のためだったら、喜んで運命を狂わされるのもさもありなんと思わせる魅力を、
わーわー泣いているだけの万姫に、私はその片鱗ですら見ることができなかった。

チャムガは「運命の人だと思った」という台詞を言っているから、
観客席の私にはわからない何か、前世の因縁のようなものでもあったのかもしれんとしておくが、
秀民様はよーわからんが、女の哀れさが運悪くツボに入りでもしたんだろうか。


『我が愛(略)』の運命は、いつも万姫に優しい。

両親が死んだ。頼りになる親族もいない。これからどうやって暮らせばいいのだろう、
と田舎の娘が途方にくれていると、
中央の有力者が現れ、私の妻になってください、私を頼ってください、と申し出て、
家の体裁や使用人の暮らしを含めた生活すべてのバックアップを約束する。

敵国に浚われた、どうしたらいいのだろうと泣いていると、
敵の武将が現れて、私が世話をします、あなたを無事に帰すことを約束しますと、
彼の家族のように彼女の使用人ごと大事にしてくれる。

婚約者がいるから、結婚はできないと最初に断ったのだが、
彼は彼女との出会いを運命と思っており、
婚約者を裏切れないという気持ちに最初から理解を示し、
彼女に何も求めず、生活を保障してくれた。

敵国の将に運命の相手とまでに好かれていることを知らされ、
彼女の気持ちも彼に向かっているのだが、
母国で受けた恩義と一緒になっている婚約という名の契約ゆえ、婚約者を裏切れなかった娘だったが、
敵国の将が約束を守り、母国に戻され婚約者の元に戻ると段取りがついた、
つまり彼との永遠の別れが確定した瞬間、「彼の妻です」と名乗りだした。
殺されても当然。

しかし、娘の裏切りを、婚約者は許した。
それどころか、婚約者は、女の心が離れているのを知っても、今までの援助を取り消すどころか、
彼女を援助するスタイルを変えなかった。
変わらず彼女を、彼の最善で誠意を持って愛し続け、
恋敵であり、仕事上の宿敵でもある彼女の恋人を救うために、
仕事も彼自身の命も彼女に捧げてもいいと彼のすべてをかけて、彼女の願いを叶えたが、
彼女の男は、職業上のプライドをプライベートの恋心より優先させ、死を選んだ。

婚約者(今はパトロン)は、好敵手だった彼女の男への敬意と、彼女の心を慰めたい思いから、
死んだ男は彼女を妻だと言っていたと告げた。

両親が死んでしまい困っていたら、誰かが助けてくれる。
異国に浚われて困っていたら、また違う誰かが助けてくれる。
これまでそうやって、受けるだけで与えることを知らなかった女は、
パトロンの優しさを理解することもできず、愛する男を失った悲しみで思考停止し、
愛に応えなければと突っ走る思いと、
今後、パトロンに彼との関係を問われるのはごめんだわと忌避したのか、
運命の相手に殉じる形で死んだ。

彼女は彼女の運命の愛を死ぬことで全うした。死んだ女を責めてもむなしい。


運命の男(チャムガ)は、礼儀正しい紳士であり、麗しい容姿に恵まれ、優しい。
実家を引き受けてくれた婚約者は、彼女にひたすら尽くしてくれ、彼女の裏切りも、
彼から彼女を奪った男すら許す、神のごとき大きな愛の持ち主で、
もし、男が死より彼女との愛に生きることを選んだとしても、
残された彼女の使用人と彼女の実家の誇りを守り、そのためのごたごたも、
愛してくれると思わせる。

綺麗な若い男に、運命だと愛されて、
パトロンには溢れる愛で、彼女の背負っているもの全てを、
罪や裏切りまで含めて愛される。
えっらく女に都合がいい話じゃないか。


この運命に愛されるに値する要因として、女には、美貌という優れたものがあると
劇中で説明がある。逆にそれ以外に優しいなどの要素は一切説明はされない。
美貌は年齢とともに衰えるもの。
優しさや慈愛は、年齢とともに増やしていくことができるもの(天皇皇后両陛下のように)だが、
20年後は衰える容姿以外には、優れたところがあるように描かれない女に、
なぜこう都合がいい展開になるのか。女の妄想を見せられているようだ。

肝心の容姿についても、
物語に登場する女は彼女のばあやか、彼女のキーキーうるさい小間使いしかいないので、
そもそも、どれぐらい美しいのか比較の対象もない。
恋のライバル(?)が、この公演ではカットされたことが惜しまれる。

他人の手前勝手な妄想なんて、見ていても面白くない。
万姫を自分だと思うことができれば、自分の妄想になるから楽しめるかもしれないが、
若さも美貌もない私としては、とても、このヒロインに自分を重ねることなどできない。
朴秀民の使用人の女が、私にふさわしい役どころか。、
ならば尽くして尽くしぬいた相手に、死という手段で消えぬ傷を負わされたご主人様の
不運を嘆くしかない。

ご主人さまの愛の大きさと、武将としての有能さはわかったけど、話自体は不愉快だわ。

女がアホだと見抜けなかったのは、ご主人様の非だが、
敵の名将という頭のいい人の裏をかけるほどの戦術に長けて、
同時に、頭の弱い女の思考回路まで先回りして理解してなんて超人じゃないんだから無理。
ご主人様の足りない部分は、ご主人様にベタぼれの玄喜が補って、
「その短剣で命を落とす前に、秀民さまのために生きられないか、
 一瞬でいいから考えて欲しい」と具体的に伝えたのに、
脳みそ不足なのか、それすら思い出せないバカ女。
は~~もったいない。ため息しか出ん。


主演さんの、役を生きる能力と技量には、絶大の信頼を置いているので、
全国ツアーの千秋楽には、バカ女の妄想物語を見事な時代物に化けさせているのではないかと
期待させられてしまう。
殺陣や歌舞伎を思い出させる見栄などは、さらに素晴らしさを増されているだろうから
(初日あいて次の日ではちょっとぎこちなさを感じさせる部分もあった)、
それだけでも見ごたえが増しているのは確実だけれどね。

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たまり(ょ)

Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

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