お決まりの日々?

モモの節句でございます。

星大劇『ロミオ&ジュリエット』Bパターン

 6月13日 11時公演を観ることが出来ました。
 いつものように、見えたところしか見ていない、主観尽くしの感想です。


 初めて「ティボルト」が人として見えた気がした。初めてティボルトが好きになれた。
「ティボルト様」と呼びたいぐらい、苦悩するまっとうなヒーローだった。

 いくつかの要因が重なり、宝塚歌劇「ロミオ&ジュリエット」のティボルトに対する私の印象は、
ナイフとお友達の危ない人だった。端的に言えば、頭空そう(悪いのではなく、空)。
かかわり合いたくないタイプの人だった。
 彼は「危ないヒト」となった原因は、大人たちにあると胸の内を吐露している。
彼に一族の未来を託すと重荷をおだてながら押しつける男たち。
彼を欲望の対象として見る女たち。
ジュリエットの母も含めいろいろあったのだろうが、
ティボルトがジュリエット以外の女性は人間あつかいしていないように見えたのがDV男みたいで嫌だった。
考えすぎて思考を停止させた結果かもしれないが、怒らせると暴力な爆弾みたいなところも苦手だった。
固まった頭で刷り込みのようにジュリエットに執着しているのにも恐怖を感じた。

 しかし、2013年星組Bパターンでは、ティボルトを初めて理解できたと思った。好きになった。 
 グループでたった一人の跡取りだと、小さな頃から、大きな期待を背負わされ、
将来の立場を期待した女性たちからちょっかいをかけつづけられた蓄積で女性不信をこじらせている。
彼が何とか持ちこたえられているのは、救いの天使、無垢なジュリエットの存在があるから。
 いとこ同士で結婚はできなくても、彼女の白さは俺が守ってみせると固く誓った。
 仮面舞踏会で、ジュリエットに近づこうとするパリス伯爵に、
ロックオンしてがっちりホールドで近寄らせまいとする力強いティボルト。
そのとき彼が白い衣装を着ていることにも関係したかもしれないが、
特撮番組などで、ヒロインに襲いかかろうとする怪人を阻むため身体を張るヒーローに見えた。
しかしパリスと組み合うその姿が、巡り合えた運命の相手とがっちり踊るロミジュリ組と
舞台上手と下手で対称になっているのが皮肉に哀れで、彼のおかれた立場の悲劇性がひしひし伝わる。

 たった一人の跡取り、一族にとっての救世主。
ヒーローであることを望まれ、多大な期待を背負わされ、しかし好きな女性と結ばれること一族の掟により許されず。
すべては一族のため。それでも不満を飲み込み、まじめに、ちょっとすさみながらも
赤チームのヒーロー稼業を我慢を重ねてがんばり続けてきたティボルトには白が似合うと、
2013年星組Bパターンを見て思った。
 「仮面ライダーフォーゼ」でもひねた美形の二号ライダーより、
断然まっすぐで白が似合うフォーゼちゃん贔屓の私だモン、まっとうヒーローは大好物!(「仮面ライダーキバは苦手だった)
 白いティボルトにスコーンとはまってアタリマエ。
 
 第二幕、彼の天使ジュリエットの心をロミオが奪ったことを知り、
心の支えを失ったティボルトは、我慢の重荷に耐え切れず、暴発する。
 「ジュリエットの心がロミオにある、ならばジュリエットの心を取り戻そう、ロミオを殺して」
 一幕では、当時絶対的な権力を持っているジュリエット父が決めた彼女の結婚相手パリス伯爵を、
気に食わないと消極的な態度を示し、己の身体でブロックしてジュリエットに接触させまいとしていた、
一族当主に表だって刃向かうことはせず我慢我慢を重ねてきた無害な人間が、突然短絡思考しかできなくなるほどに、
「ジュリエットの心が奪われた」ことは彼にとって絶対的な衝撃だった。
 彼は、自分のジュリエットが唯一無二と傾倒する彼自身の心から、
そして愛がなくても「夫婦」という形は、夫以外の愛する対象があれば可能だと、
どれだけティボルトにつれなくあしらわれても、彼を愛の対象として執着するジュリエット母の姿から学習していた。
愛はまがまがしく強く、狂的であると知っていた。
 ジュリエットの心がパリスになくても、一族の繁栄のために彼女が結婚することを許せなかった
「純粋な」ティボルトにとって、ジュリエットの心を奪ったロミオを許せるはずがない。
ジュリエットはロミオに心を強く捕まれており、ロミオの死骸を見せるまで、あきらめないだろう。
だから心を決めた。
 そうしなければ、彼自身も生きていけないほどに、彼にのしかかる責務は巨大だった。

 上記のように感じた2013年星再演Bパターンを見るまで、ティボルトを魅力的だと私は思ったことがなかった。
 魅力的な外見で喧嘩が強いかもしれない、強い男は魅力的かもしれない、唯一の跡取りという立場も無敵かもしれない。
群がる女どもは、彼が美しい男であることと彼が将来手にする当主という位に群がっているように見えていた。
 ナイフに象徴される突発的暴力の危ないティボルトには恐怖しか感じられず、
「ジュリエット逃げてー」と思っていた。
(宝塚歌劇の『ロミジュリ』をすべて見たわけではないし、他に気を取られて見逃している可能性も大きいので、
 素敵なティボルト様はこれまでの『ロミジュリ』でも存在していたはずではあるが、ごめんなさい)

 前回の月組再演で、主演さんと準主演さんが、ロミオとティボルトが役代わりをするのに納得がいかなかった。
それは運命の相手がコロコロ変わるジュリエットが形を変える月以上に不実に思われたこともあったが、
今後準主演さんにロミオを演じさせる機会がなさそうだからとロミオをさせたいと、
狂人ティボルトを「白」が原則のトップさんに押し付けるなんてと、勝手に憤っていたこともある。
 月トップさんのティボルトは見ていなくて、どんな風であったのかは知らない。公演評も読んでいないから、
前再演に興味を持っていたら気づけていたことかもしれないが、
ティボルトはもう一人のロミオだから、トップさんが演じてもいいんだと、私は再演星Bを見て初めて納得できた。

 ここに至った理由。
 ティボルトを演じた役者が、友人に「評価が甘い」と言われる対象であることも関係するかもしれないが、
他の大きな要因として、初めて感情移入できないジュリエットだったこともある(各組新人公演と雪研一ジュリエットは未見。星初演は舞台映像を見た程度)。
 今まで見た『ロミオとジュリエット』は、映画も含め、ジュリエット視線で見ていたから、
見ている私も、彼女の運命の人であるロミオに心を揺らしていた。
 しかし、何が私にとって障害になったのかをあまり言葉にしたくないのでわからなくていいのだが、
このたびの「何でも知ってそうな」「手練手管に長けてそうな」「自分の魅力を熟知してそうな」
コンパのプリンセスを思わせる、女性として成熟したジュリエットは私にとって遠い人だった。
 ティボルトを含め、一族のほかの男たちが彼女に向ける思いを良く知って、振り回していそうなジュリエットだから、
周りにいないタイプのロミオに興味を持ったのだろうなあ。
 純粋な乙女ような表情をする「愛」に、瞳を奪われる、それが私の正解でした。
やわらかく、「死」に比べて体は小さいのに、大きなものを感じさせる「愛」はめっちゃ好みでした。

 それから、今までは「男好きの変なオバサン」として認識していた宝塚歌劇版の乳母が、
今回初めて、自分の産んだ子ではなけれど、実の母以上にジュリエットを愛する母であることを感じたのも驚きだった。
 それは、これまでとは違いジュリエットから視線がはずれていたので周りがよく見えたことと、
「私が主役よ」と出しゃばらない乳母であったからかと思う。
 ジュリエットの父が「娘の年齢は知らなくても」娘の幸せを考えていること、
パリス同様見初めた女性を妻にして愛し続けていたこともよくわかった。
自分が愛しているように妻も愛してくれていると思っていたからこそ、「夫を愛したことがない」と言われてショックを受けた。
今の生活を幸せに思う自分と同じように妻が幸せだと信じていたからこそ、
ジュリエットにべたぼれのパリス伯爵なら娘を愛しぬいて幸せにしてくれると安心していたのだと思う。

 そりゃあ「親」としては、
人殺しの犯罪者でヴェローナに戻れない生活力に欠けるボンボン育ちと駆け落ちさせる苦労より、
大金持ちの伯爵様に愛され何一つ不自由ない生活を選ばせたいだろうと、父の気持ちにも乳母の心変わりにも納得、すっきり! 
 ジュリエット実母は、彼女が好きでもない相手と結婚したのに娘に運命の相手と結婚する幸せを与えてなるものか、
娘は彼女と同等どころか7掛け位の幸せが相応よの、幸福な結婚ができなかった恨みをビシバシ感じさせる
リアリティのある演技であった上に、心の支えを奪った相手への殺意が上乗せされた恐ろしさで、これも納得。

 ティボルト様が、乳母が!と、今まで何を見てきたのかと驚く目から鱗状態だった。

 ロミオは、洋画で好きな声優さんが吹き替えを担当されたバージョンもあって注目する人ではあるけれど、
話の主役はあくまでジュリエット。愛情ベクトルも描かれる場所もジュリエットが中心。
 宝塚歌劇限定、それも生で観劇したもの限定で言えば、みみジュリエットとちゃぴジュリエットが好き。
「何も知らない16の乙女」純粋培養された素直さと、あこがれの対象であった恋が自分の上に突然落ちてきて、
彼がすべてになって走り出してしまう素直さと若さを感じた。

 最初のロミオはちょっと変。兄弟よりも近い親友たちといても、自分一人だけは異質と考えている。
16歳のジュリエットより年上なのに、厨二病を引きずっているのかと思わせる不安定さがある。
 第一幕のロミオは、音月さんの厨二病の世界観(笑)あふれるロミオが好き。
「僕は怖い」の、僕は異質だから理解されない、だから誰にも心を開かない、誰も当てにしないの異星人感、
自閉っぷりが際だっていて好き。

 第二幕、恋の暴走ゆえの悲劇で何でこんなことに!のロミオは、ジュリエットという軸ができたことで、理解できる人に降りてくる。
結果ヴェローナを追放されて、異邦人になるのだけれど、異星の生命体から、人種が違う「人」に変わってくれたから理解できる近さを感じる。
(一幕でジュリエットがロミオに途方もなく引かれてしまうのは、UFOに乗ってきて現れたような彼に、
他の男と違う魅力を感じ、びっくりした衝撃を、何も知らない16の乙女だけに恋と勘違いして、
若さの怖いもの知らずで暴走したのかもしれない)

 第二幕の愛をすべての支えにしている人間ロミオは、柚月さんのがとても魅力的。
自分のことはどうでもいい、ジュリエットが全てになっているのがストレートに出ていて気持ちいい。
第二幕の「僕は怖い」はするっと心に落ちた。
(第一幕では、ロミオが皆よりお兄ちゃんだから、年下は頼れないんだの頑張りやさんの好青年に見えてしまい、
「僕は怖い」が浮いて聞こえてしまった)
 音月さんのロミオは相手も大事、相手を好きな自分も大事という感じを受けたように(古い記憶だが)思う。
 龍さんのロミオはやたらときらきらしていて、ちょっと変でも放っておけないアイドルの印象。
ヴェローナの青年スター様様として君臨している様が愉快だった。
スター様に見つめられ、一目で恋に落ちたヒロインは、子犬のように一直線に駆け抜けるわな、と納得。
ぜんぜんしっかりしていない自活力ゼロのところも、悲劇色を濃くしていたように思う。

 これまでは主役カップルをつい見てしまっていて、
ティボルトは、ジュリエットにちょっかいを掛ける精神を病んだ青年、お邪魔ナイフに思えていたけれど、
今回ティボルトが彼のおかれた複雑で重苦しい環境を、まじめにもがきながら生き抜いてきたサバイバーに見えたことが喜びだった。
 敵が魅力的だと面白い話になると、「侍戦隊 シンケンジャー」を思い出した。「真剣」な彼の生き方と、「シンケン」をに掛けた訳じゃないんだけど、妙に合うな。

 ティボルト役さんに甘くなる理由は、声かも。声質は好きだった。
さらに滑舌が不自然さがなくクリアーになり、独特の節回しもないナチュラルさで感情がストレートに伝わってくる。
歌もちょっと前までは(?)声質の良さをもったいないと思うものだったのに、気持ちよく聞けるようになった。
 彼女のよいところは、スパーンと大きいところにあると思う。でてきたとたんに大きい。イイモノがでてきた感じがする。
そのままで大きいから、大きく見せる代償かの不自然さがない。声も容姿も身体も恵まれている。
それに慢心することなく、表現者としてさらに上に向かおうとする若さの象徴のようなエネルギーが心地よい。
舞台で役の人として生きる彼女をもっと見たいと思わされた、いい舞台でした。

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

*Trackback

トラックバックURL
http://okimari.blog26.fc2.com/tb.php/3854-abe26cef

Menu

プロフィール

たまり(ょ)

Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

何となくの傾向インデックス
・「某Oさん」や「花柄の君さま」などと表記させていただいている声優さんのファンなので御出演作♪
『おねがいマイメロディ』シリーズ(終了)
・『電王』以降のスーパーヒーロータイム
宝塚歌劇感想
・他ドラマなど
・医療破壊に関しては涅槃の境地にいけたらイイナ♪
リンク先=『麻生太郎オフィシャルサイト』さんスキー♪

チベットを知るために-人権問題(ダライラマ法王日本代表部事務所)

最近の記事

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

カウンター

QLOOKアクセス解析

ブログ内検索

月別アーカイブ

なかのひと。