お決まりの日々?

モモの節句でございます。

月ミュージカル『ルパン』

 チケットが手に入ったので見てきました。
 感想を月組ファンの友人にメールしたら、叱られなかったので、少々加えてこちらにも。

月『ルパン』

 子供のころに見た小説カバーイラストのイメージから、ルパンは黒髪と思っていたので、びっくりしました。

「ルパン」は、わあ正塚先生だーと思いました。
「ブラックジャック」や「カナリア」など、独りよがりでない正塚もあるのに、そうでない正塚、ひどい正塚方面。
登場人物の怒鳴り声で進行するのもマサツカ先生らしい。
同系統に、麻子さんの「ラストプレイ」や水さんの「マリポーサの花」が浮かびました。
恋愛不在のあれらには、二番手(きりやん、ゆみこ)との友情があったけど、二番手ポジション(専科から)の
モーリス・ルブラン(北翔)との友情は、私には感じられなかったです。
ルブランがルパン(龍)に心酔しているのは伝わりました。あのヒトいちいち嬉しそうなんだモン。

 モーリス・ルブランはとてもとても謎なヒトでした。
その場に存在していない存在なら、ぶつかってわあ、という芝居はおかしい。場にいないことを形でも示して欲しい。
白のスーツ、白の帽子、白の靴と白尽くめで異質さを表現する とか。
(『あさきゆめみし』の時のすだまちゃんは、別次元の存在として成立していたように思います)
もしくは『エリザベート』のルキーニのように、進行役として、舞台と客席の間にいることを示すなど。

 ガニマール(星条)とフラヴィ(憧花)の容赦ない仲良しコンビには大いに和みました。
ルパンの気配を察してグネグネする大男ガニマールと、
それを歯切れのいい男言葉で叱り付けるフェミニンなスタイルのフラヴィのやりとりには、笑い声が上がっていました。

 ヒロイン、カーラ(愛稀)がルパンへの恋心を正面からストレートアタックするすがすがしさはありましたが、
ルパンは自分が敵の多い身の上であり、自分が彼女を愛していることを敵に知られてしまったから、
彼女の血筋より得られる最上の階級の男と結婚して安全に暮らしてもらうのが望み、というようなことをいう
煮え切れなさ。(舞台では青年に見えますが、ルパンの『最後の恋』というなら中年以降?)
 主演カップルが思いあっているのは、年と経験にかかわらず分かりやすい人だったので伝わりましたが、
直接のキュン!は少なく、彼の乳母夫婦のやり取りが補ってくれました。
「男が女をモノにする」な話題で、ルパンの乳母であるヴィクトワール(飛鳥)に
「あたしもあんたにモノにされたのね」と言われた亭主ヘリンボーン(越乃)は、
照れながら奥さんに「お前が俺をモノにしたんだ」と返す。乙女心をつかまれました。
ヘリンボーンがまたかわいらしい人で、発明に夢中になってしまう少年のようなところを、
結構な年齢(ルパンが中年以降ということは……)であるのに持ち続けている彼を、
ビクトワールは大きな子供のように思っていつくしんでいる(二人の子供に関するエピソードはなし)、
二人の良い関係に心温まりました。こんなあったかい人たちに育てられたからこそ、
ルパンはいわゆる「怪盗」ではなく、「怪盗紳士」とになったのだと納得。
この公演でご卒業の現組長と次期組長が夫婦役で、2人が愛情を注ぐ子供のような相手が現トップさんという関係も、
「ルパン」後の月組をよくする一つの大きな要因になるだろうなあと思わされました。

 北翔さんのムードがある歌は素敵な雰囲気かもし出して場を締めつつ盛り上げるし、
カーラを押し倒すカーベット(沙央)の尻はいい。
 龍さんの歌もたくさんある。歌うように伸びる彼女独特の台詞まわしと、そこから始まる歌の一体感は、
合っているかもしれない。個人的には龍さんの歌は、歌として、台詞で区切られることなくしっかり聴きたいが、
とにかく、いっぱい聞ける。
 聴きどころ、見所はある芝居なのだけれど、問題は、ルパンと敵対する勢力が弱いこと。
 「オーシャンズ11」花組再演版で、初演を二番手が演じた役を、だいもんで大丈夫なのか、
ましてやあの蘭トムさん相手で、弱すぎはしないかと心配は杞憂に終わり、大変満足した。

 しかし「ルパン」では、黒幕が弱すぎる。

 原作を読んでいないので違っていたらごめんなさい。以下、ネタバレになるかも(勘違いかも)を含みます。








<チラシにあるあらすじ>

 1921年パリ。レルヌ大公の令嬢は悲しみにくれていた。大公が自ら命を絶ったのだ。
この死をきっかけに、彼女は自身の出生の秘密を知り、国際的陰謀に巻き込まれていく…。
 一方、彼女の身を案じて苦悩する一人の男がいた。彼は彼女を密かに愛していたのだ。
 正体を隠して、彼女を守り続けるこの男こそ、あの怪盗紳士アルセーヌ・ルパンだった!
 永遠のヒーローは彼女をいかにして救うのか? ルパンの戦い、今始まる----



 こんな話だったかと、今チラシを初めて読み、首をかしげた。
 
・出生の秘密=令嬢カーラは、レルヌ大公妃がイギリスの王家の関係者(?)との間に出来た子
・国際的陰謀=イギリスの王位継承権問題。カーラを妻にすれば、現国王の弟と対立しているエドモンド公が次の王になれる。
 しかし、この部分はルパンに直接関係しておらず、王位継承権争い関係とそれにまつわる横恋慕からの
カーラ誘拐からの救出劇は前半ぐらいで終わる。
 ルパン自身が狙われる理由はカーラと無関係。ルパンとルブランの会話で繰り返される「黒幕」がいて、
ルパンをおびき出すエサとしてカーラを使った、カーラ誘拐は黒幕の存在のカムフラージュ、らしい。
 黒幕が正体を明かし、謎解きをしていく部分が後半。


 英国諜報部は、ジャンヌダルクの告白を記した「ことわりの書」を求めている。
彼らはそれを、アルセーヌ・ルパンが所持していたことを知っていた。

 ルパンは、「最後の事件」で死んだとされていたが、生きているかもしれないという情報が入った。
 噂によると、レルヌ大公の令嬢カーラの後見人の一人がルパンとか
(大公が遺書に書くぐらいなのだから、諜報部が察知しているのは当然)。
 後見人はカーラにぞっこんで、彼女のためなら火の中水の中メンバーらしい。

 ルパンは名誉を重んじるのだから、ルパンの名前を騙って盗みをすれば出てくる。
 いい具合にカーラに贈られる400ポンドがある。これをルパンの名前を騙って奪えば……!
 カーラの後見人の一人がルパンなら、名誉挽回に加え、カーラのためと絶対食いついてくる。
ダブルトラップだ。
 こんなこともあろうかと(真田さんかよ)、諜報部の重要人物が後見人の中に入れるよう工作をしておいた。

 その上、王族の血を引くカーラはイギリス王位継承権のキーパーソンで、
彼女を巻き込めば次期国王を狙う二勢力のごたごたが必然的に絡んできて、
「ことわりの書」強奪事件の犯人が英国諜報部であるどころか、事件そのものをカムフラージュしてくれるはず、
おいしいどこ取りー!

 ……と、足りない考え(であることを想像させる)英国諜報部を体現するようなヒトが、
4人の後見人に混ざりこんでいた黒幕さんでした。
 
 この黒幕さんの存在が実に弱い。
 演じた生徒さんは場にしょっちゅう出ているんだけれど、
それは組替えして初の大劇場という彼女の置かれた状況によるものだと思っていた。(いわゆる「ご祝儀」)
 同じグループを形成しているけれど、元は属するグループが違う、というのは、
組替で来て2作目という今の彼女の状況を活かせる役どころと思うのに、体つきと同じくぺらぺらで。
彼女が黒幕として主役に対峙出来ていないところに、シンプルであるはずのこの物語を、
客席に伝えにくくしている原因になっているのではないかと感じました。
(ルパンさんが分かりやすい人であるだけに、残念です)

「ええっこの人が! 意外~」ではなく、モブと思ったら黒幕だったは、ドラマとして成立する、のか? 
彼らが謀った「カムフラージュ」の下の下のほうにいた、悪役カーベット(沙央)のほうがずっと立っている。

 出番が多く主人公に絡む真の悪役が埋没し、
出番が少なく主人公にはヒロインを挟む形でしか関係しないサブの悪役が目立つと、話の軸がずれる。
 この話は、作者を舞台に引っ張り出すほどに「ルパン」を軸にした構成なのに、
サブの悪役が絡むヒロインが関係するイギリス継承権争い、「カムフラージュ」の事件の印象が強くなり、
ルパンはヒロインのお助けマン、彼自身に絡む真の悪役の部分はサブストーリーに見える。

 脚本は読んでいないけれど、黒幕役は舞台には良く出ていたので、そこで、ルパン以外の他の後見人と違う、
一癖ありそうな違和感を(髭が似合わず浮いている、とかじゃなくて)出せていたら!
 (大きさが)足りない! と、もどかしかったです。 
 英国諜報部を一人で表現しないといけないハッタリ上等の難しい役で、今の彼女にはかわいそうだったと思う。
サブになるはずの悪役が、沙央さんだったのも分が悪かったかな。
傍に居る後見人がキラキラ美弥さんなのもモブに見えた一因か。
でも番手で抜いちゃったんだから、いいわけにもならない。
「与えられたからには、それをやり遂げる責任がある」(霧矢→珠城)

 凪七さんと沙央さんが、もしくは、美弥さんと配役が逆だったら、話のメインが分かりやすく、
めっちゃ面白かったと思います。(特出の北翔さんだったら、いかにも過ぎて謎解きの楽しさが少なくなるかモン?)
 前に月組にびっくりタイトルロール特出されたときから、劇団がすごくひどく大変に押していることは分かるけど、
私には彼女の魅力がいまだわかりません。(似たような生徒さんに夢華さんがいる)


 エドモンド公(宇月)がカーベットのことをあれだけ信頼していたのには、
エドモンドがおバカなだけではなく、きっかけは悪い心でも野心込みで、
全力で彼に仕えた時間の積み重ねがあったからこそと、想像させるものがありました。
エドモンド公に降りかかる災悪をカーベットはすべて跳ね除けて、彼を純粋なままに保ったのだと思います。
頭が足りないとバカにしながらも、彼の素直さを、ひねくれちゃったカーベットは愛していたと。
カーラが魅力的だから襲ったのではなく、エドモンドが好きだーという対象であったこともあったのでは。
 婚約者エドモンドが、彼女に無体を働いた悪臣の正体にまったく気付かないことに、
カーラは心底嫌になった様子ではありますが、彼女の比較対象が、
イギリス諜報機関の要人が、パリ警察が、何としても協力を願いたい天才的頭脳の持ち主なのだから、
誰と比べてもモノ足りないわけで、不運としかいいようがない。
 エドモンドが足りないシアワセな人であることは否定しないけれど、
あの愉快なガニマールが敏腕刑事として成立しているおもろい世界なら、国王になれそう。
あれほど臣下を信頼できる才能を持っている彼だから、良い忠臣が付き、彼らの意見を聞き入れれば
名君になる可能性も十分です。(最悪なのは能力が足らないのに、意見をする部下を否定して排除するバカ)

 エドモンド伯(美弥)もカーベットも、それぞれのそれまでの歴史がわかる芝居をされていて、
舞台に描かれない彼らを想像させられるのが楽しい。
 残念なことに黒幕の大役を割り振られた人は、そのあたりが薄くて、妄想させる楽しみがないのだ、
私には今のところ。
 歌劇団が推すメンバーと私の好みが違うのは昔からで、それは一ファンである私が変わらない限りは
埋められない差だと思うけれど、願わくは、推しメンバーに私でも分かる魅力が出てきますように。

 本命対決の結末がどうなったのか、記憶まで薄い。
 ルパンが、ここにある「ことわりの書」は写したニセモノだモン、ホンモノはちゃーんと隠してあるんだモン、
君が望むならニセモノはあげる、ホンモノは門外不出にするから、
ニセモノをホンモノにしちゃえばいいモンな流れがあったことと、
天才的頭脳を持つルパンに、イギリス諜報部の仲間になってほしいんだモンの誘いを、
ルパンがあっさり蹴り飛ばしたのは覚えている。
 ルパンに負ける要素はないから、勝ったはずだ。

 エピローグは、誰かを愛すれば、その人が「敵」のターゲットになり危険な状態になるルパンが、
『最後の恋』を貫くためには、『ルパン』の存在を殺すしかない。
 以前死んだと思われていたルパンが生きていたのだから、何もなしで騙すのは難しい。
ならば死体を作ってしまえばいい、本物である必要はない、というところで、ヘリンボーンの発明家の血が騒ぐ。
彼が万能鍵を完成させるまでに3年掛かったけど、次はどれだけ待てばいいのかな? 
それまではガニマールとフラヴィに協力することで身の安全を確保してもらおうか、と持ちかけ、
フラヴィは天才ルパンの協力が得られるなんて願ってもないことと大喜び、
ガニマールは好敵手がいなくなることに困惑するが、検挙率が上がるぞと説得されて承諾する感じだったように思う。

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たまり(ょ)

Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

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・「某Oさん」や「花柄の君さま」などと表記させていただいている声優さんのファンなので御出演作♪
『おねがいマイメロディ』シリーズ(終了)
・『電王』以降のスーパーヒーロータイム
宝塚歌劇感想
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・医療破壊に関しては涅槃の境地にいけたらイイナ♪
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チベットを知るために-人権問題(ダライラマ法王日本代表部事務所)

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