お決まりの日々?

モモの節句でございます。

『疑惑』(尾野真千子、常盤貴子、柄本明)(再放送)は恋愛もの

尾野球磨子の『疑惑』を、見たかったという友人がいます。
初回放送の時に録画したBD-Rは、気に入っているためあげられないので、今回友人に渡すためと録画しました。
前回はざっと見た状態で感想を書き、拍手やコメントもたくさん頂きました。ありがとうございました。
 →前回の感想

見返したいと思いながらも、今日まで叶いませんでした。友人に録画したBDを渡すためと最初から見、
冒頭から引き込まれました。
前回の感想を書いたときは、結末を知らなかった。
今日は結末を知っての、このドラマとの再会です。
その間に、いしだあゆみさんの球磨子もテレビ放送で見、柄本さんの一人芝居も劇場で拝見しました。

再会した『疑惑』は、謎解きの面白さと、裁判員のくだりはの冗長さはそのままですが、
大恋愛もの!に思えました。

最初のコマーシャルが入るまでに、目撃者のいい加減さが、
球磨子が夫を愛していたこと、
球磨子に誤解を受けやすい表現しかできない生きにくさ、哀しさがあることが、
表現されていました。

球磨子は一生懸命に生きていて、生き延びようとしていて、
病棟でファッションリングを見て窓からの空を眺める彼女の瞳は、
これからどうやって生きていけばいいのか、
夜の海中から這い上がり、生きていることに感謝した雄たけびをあげた
そのときの生き抜く意思を持ち続けていながらも、
彼女が望むようにすればいいと、彼女を丸ごと受け入れてくれた夫により得た、
初めの安息で、丸くなった牙で、どうやって戦っていけばいいのか。
夫が望むように、一緒に海に沈んでしまったほうが良かったのかと戸惑いを揺らしながらも、
彼が最後には開放してくれた命を生き延びようと気持ちを固めているように見えました。

警察が「クロ」と決めた被疑者を、社会的に抹殺するためにマスコミにネタを提供するのも、
マスコミが面白おかしく書き立て報道し、それに人々が踊らされるさまも、えげつなかった。
(少なくても後者は、従軍慰安婦捏造が、外国を巻き込んでの大問題になっているのだから、
こんなものじゃないと思いますがね)

彼女の言葉を聞こうと必死な女性弁護士、佐原との間に、ぶつかりながら絆が形成されているのも
わかりやすかった。
他人を試し利用することで生きてきた、
天涯孤独の球磨子(裁判の中で、天草の児童養護施設出身と説明あり)には、
彼女を非常な保険金殺人犯にして安心したい警察を含む世間の中で、
彼女を昔から知っていて、更正させたい、更正したと思いたい目で見てくれる
原ちゃん弁護士が怪我で動けない中、
彼女を頭ごなしに否定せず、言葉を聞こうとしてくれる代理弁護士しかいない。
弁護士に厳しい言葉を投げかけ、本気度を試すしかできなかった。そしてマジだとわかって、
彼女のできる範囲での協力をした。
でも彼女は自分だけの秘密にしたいところは、大事だから守りたい。
ゆえに、なぜ言わなかったとのいさかいが起こる。

引き受けることになった佐原弁護士にしても、恩師の依頼で請けた気乗りしない仕事で、
非協力的な被告人から「真実」を引き出すのに必死だった。
ただ、彼女は原弁護士のようには老練ではなかった。若かった。だから「真実」を、
依頼人が隠しておきたかった秘密まで、公にさらしてしまった。

自分は「白だけれど、グレー」という球磨子は、「白」の結論は望んでいなかった。
グレーの、「疑惑」のままで、彼女と夫の愛の日々を隠して、
弁護士の推理を借りるなら「独り占め」したかったのに。
彼女の真実の気持ちまでは、この弁護士は推理できなかった。
あいまいを許さない弁護士の若さと決め付け癖は、ラストシーンにもつながっている。

目撃者が証言した「薄い黄色の服を着た女が運転していた」が
「白いスーツを着た男」であることを示したところまでは、
球磨子はやるじゃないという表情をして、この弁護士に満足していた様子だった。
しかし、無理心中までたどり着いた弁護士を見た球磨子の素の表情。
夫の気持ち、二人の秘密まで公の場所に、さらけ出されるのではという恐怖。
証拠不十分でいいといったのに。
土足で彼女と夫の関係にどんどんと踏み込まれる暴力に対する恐れ。
オニクマと呼ばれ、好かれることをあきらめ、嫌われ者でいいんだと開き直る女を、
愛し、愛が募って独占しようとした男がいた。
花火まで、「聞こえなかった」と隠した、夫の彼女へのメッセージまで見つかってしまった。
このときの弁護士の『私はすべて知っています』の目が、上から見る冷たさが感じられて、
不快だがいい演技だと思った。

無罪判決を得た後、球磨子は弁護士に、証拠不十分でいいといったのに余計なことをした、と怒る。
弁護士は、そうまでして保険金を渡したくないと、彼女の夫が思ったのではないかと厳しくいい、
生きているだけで十分でしょ、と突き放す。

退院した球磨子は、福太郎と彼女の家に行った。
そこにはすでに、娘夫婦が住み着いていて、彼女は招かざる客であることはわかっているのに。
そしてすぐに警察が来た。それは退院のとき、マスコミに囲まれたときからも予想されていたことだ。
警察に疑われていること、彼女の生きてきた歴史から逮捕は免れないこと、
そうすると夫の最後のプレゼントも奪われることがわかったから、安全なところに、
夫のところに隠しに行った。夫の最後のプレゼントを渡すわけにはいかなかった。
彼女もまた、夫を深く愛していた。

弁護士は、球磨子は夫の無理心中の計画に気づいて、賭けに出た、と推理して、彼女に突きつけた。
奉納花火のメッセージを、リングを大事そうになでながら聞いた球磨子は、
そのとき飲んでいたお酒(?)に入っていたであろう睡眠薬で眠らされていたと思う。
その状態で賭けができると?
夫が妻に首を絞められたとき、彼女になら殺されてもいいと思ったように、
彼の強い愛に、彼になら殺されてもいいと、彼女も思ったのではないか。

私は無理心中を、球磨子はそのときは受け入れていたのだと思った。
ただ、海の中で、衝撃で目が覚めたとき、彼女がこれまで生き抜いていたハードな人生が、
彼女の生きる本能を強く刺激した。
夫は、脱出しようとする彼女の肩に手をかけ、強く引き戻そうとするが、
とっさに彼を蹴飛ばした彼女に、生きたい欲求が強いとわかると、
首を絞められたときにあなたになら殺されてもいいと、抵抗しなかったときのように、
彼女の好きなようにしなさい、笑顔で彼女を見た。
その表情を見て、彼女は夫の分も生き抜こうと気持ちを固めたように、
私はこの尾野球磨子から感じた。
もし、夫が彼女のほうに手を差し伸べ、生きようとする意志を示したら?
彼女は夫を引き上げたかもしれない。
肩をつかまれてできたあざの話をしたら、夫との最後の目での語らいにも、
触れなくてはいけない。

彼女は「覚えていない」「忘れた」とは言ったが、嘘はついていない。
ひねたようでいて、嫌われ者上等の振る舞いをしているが、球磨子は素朴で真面目なのだ。

東京へ帰ろうとする弁護士は、海岸で球磨子を見かけて声を掛ける。
「なんかすごいよね、おたく」
呼び方が、「あんた」から、「おたく」に変わった弁護士の目には、
球磨子は、命を掛けて保険金殺人をやりかねない、気性の強い女と映ったのだろう。
球磨子は、理解されない悲しさと寂しさと
そして夫への思いがこの、その場にいたように現場を話した弁護士に暴かれなかったこと
への安堵と彼女の心を知るのは亡き夫だけだと彼への愛着などが入り混じったような、
シニカルな笑みで返した。

ほぼ本気でぶつかった人にさえ、理解されない球磨子。
球磨子が夫が沈んだ海に投げ込んだ、身代わりの花束(個人の感想です)に、
彼女が検察から守った指輪が結び付けられているのを見て、弁護士は自転車にまたがるが、
こぎかたはゆっくりで球磨子を追いかけているようには見えなかった。
弁護士は自分の言葉が球磨子の心を硬く閉ざしてしまったことがわかったと私は感じた。
東京の弁護士と新潟の球磨子、二人が再び交わることはないだろう。

福太郎と球磨子が心中を図った車のナンバーは「31-52」。
こじ付けかもしれないけれど、二人が「最後に」相手に残したのは、それぞれへの愛だった。
福太郎は、生き延びようとする球磨子に、それでいい、と笑顔でエールを送った。

球磨子も彼のことを深く愛していた。
裁判を通じてより深く彼の愛を理解した今の自分の身代わりに、
あの日受け取った指輪付の花束を、彼が沈んだ海に投げた。
それは無理心中という形で、彼女を独占したかった彼に、
彼女の愛情を全てささげる儀式のようにも見える。
彼女が生涯愛する男は、福太郎だけだ。
私はもう少し生きるけれど、必ずあなたのところに行くから、安心して待っていてと
甘えているようにすら映る。

球磨子は、素朴で真面目。実は純粋。
それに気づいた福太郎もすごいし、彼にそこまで惚れさせた球磨子は、
そして彼のわがままになってしまった(相手の命まで「我がまま」にしようとするのだから)愛情に
応えようとした球磨子っていい女だなあと思いました。球磨子、かわいいよ球磨子!!

私の大事なぬいぐるみ母の名は、熊本県球磨川から名前を貰った「球磨子」です。
オニクマと呼ばれる「球磨子」もおんなじ由来?
球磨子を福太郎が愛しぬくにふさわしい魅力のある人物と描いてくれて、感謝しています。


大体を書いたところで、前回の感想を読んでみました。
そのときは、ラストシーンの赤いドレスと赤い花束と、それに結びつけられたファッションリングに
衝撃を受けた勢いで書いたのでした。
花束の自己解釈を延々と書いていたのは覚えていたので、今回はその部分は少なくしています。
受けた印象は、あまり変わっていないのかな? 
今回は、球磨子視線というより福太郎・球磨子夫婦の視点でみていたように思います。
ホンモノの強さについては、前回ガンガン書いてすっきりしたのか、別の言葉で書きたくなっていたのが
自分でも面白く思いました。
見終わって頭に浮かんだのは、それぞれの心に浮かんだ「あなたになら殺されてもいい」と、
それぞれが「最後に残したものは愛」でした。

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たまり(ょ)

Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

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・「某Oさん」や「花柄の君さま」などと表記させていただいている声優さんのファンなので御出演作♪
『おねがいマイメロディ』シリーズ(終了)
・『電王』以降のスーパーヒーロータイム
宝塚歌劇感想
・他ドラマなど
・医療破壊に関しては涅槃の境地にいけたらイイナ♪
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