お決まりの日々?

モモの節句でございます。

『舞音』/『GOLDEN JAZZ』 二回目覚書き

一週間半たって、二回目を見た月組公演。見る側の心積りができたこともあるとは思うけど、
私にはすごい変化に思えました。


舞音。とても難しい役だと思う。原作のような悪女ではない、
恐怖を抱き、恐怖ゆえ子供のまま心の成長を止めてしまった少女。
大切なものは全て失ったが、愛を得、この上なく幸せだと、極上の笑顔で死んでいった
愛に飢えていた、そしてそのことをその身が破滅するまで分らなかった哀しい女。

ちゃぴ(愛希れいか)さまが、この難しい役を、自分のものにされていました。
死体の表現がまた見事。脱力とも違う、魂が抜けて重い塊となってしまったと、瞬時に分らせてしまう。
ショーでも彼女の身体能力の素晴らしさに驚きましたが、どこまで高い身体能力をお持ちなのか。

舞台の上に、愛希れいかさんはいませんでした。
打算などなく、魂の赴くままに生きている舞音、と呼ばれる哀しい女が、
その場にいて、呼吸して、苦しみ、初めて知る愛の喜びに震えて、涙を流していた。
(打算でできているようなのが、紅い蛇さん。舞音は打算を知らない喜ばせ屋(プリーザー)さんだから無邪気に見える)

今回、二階最前列からオペラグラスで見たのですが、見たいところしか見えない私の癖が、
この道具によって増幅されていて、かなり偏った見方をしてしまいました。
そして、この組のトップスターは、愛希れいかさまだと、確信しました。
異論は大いに認めます、というより、
どう考えても私のほうが異論なのですが、このお芝居に関しては、タイトルロールになっている舞音が
そのとおり主役だったと思います。

私は前トップさんが大好きで、相手役を務めてくださった娘役さんもとても好きでした。
劇団のトップスターさんのファンではないけれど、ちゃぴちゃんの相手役として好きです。
くるくるかわる舞音の表情から目が(オペラグラスが)離せなかったのですが、
この表情を引き出してくださったのは、相手役さんの芝居のおかげだと、嬉しくありがたく思っています。
今回が娘役トップスターの退団公演だったのでは、との噂が正しかったのではなかろうかと思わせるほど、
芝居でもショーでも大活躍でしたが、デュエットダンスでは軽やかにスカートを躍らせ、夢のような空間を
演出してしまう、これだけできる娘役を外部に出してしまうのは、劇団には大きな損失でしょう。
全国ツアーのメンバーも発表になり、おさあさみどりトリオが好きだった私は、新人公演コンビの
トップスターもありじゃないかな~と期待しているのですが。
でもまさおさんにも辞めて欲しくないんだよなあ~。

以下、ちゃぴ舞音にほぼオペラ固定で表情に肢体に惹きつけられてきた私の今日の感想です。

(明日から私事で忙しくなるので、とりあえず上げておきます)(台詞などはうろ覚えです)

舞音はその美しさゆえ、男性に求められる。兄クオンが間に入って男に金を吹っかけ、交渉成立。
彼女には相手を喜ばせるように振舞う癖がついている。
フランス海軍軍人であった父は、現地の妾との間にできた彼女と兄を愛していると、
その生前は言葉と行動で示してくれたけれど、彼の死後、二人にはなんの庇護もなく、放り出された。
世の中は汚いことだらけ。ひどい言葉も突き刺さる。幼い彼女の心には刺激が強すぎたのだろう。
兄シェルターの中で、彼女は心の成長を止めてしまった。
兄は、悪いこともやっているようだけれど、彼女を裏切ることはしない。
彼女には見捨てられ恐怖が染み付いている。相手に喜んでもらえれば、見捨てられることはない。
唯一の肉親である兄も喜んでくれる。そうやって生きてきた。

海軍の父と同じ服装をした父と同じ国の美男子シャルルが、赴任してきた。
彼女の興味を引くにはそれで十分。
シャルルは、彼女に好意の視線を向けた。
彼女はこの人はどんな風に私を扱うのかしら?と気になった。

舞音をアクセサリーやトロフィーとして求めた金持ちの男たちにはない、
まっすぐに、人間としての彼女を求める彼の気持ちに、好奇心を持った。
兄が迎えに来たとき、それまでの男に対するのと同じように挨拶をしたら、
彼は本気の愛じゃなかったのかと怒って彼女の頬をぶった。

それからずっと彼のことが気になって気になって、やっと再会できた、と思ったら、
彼には婚約者がいて、汚いものを見るような表情で彼女のことを高級娼婦だとののしった。
彼女は彼を追いかけ、二人は互いへ気持ちをぶつけ合った。
このとき、舞音の方から、彼を傷つけたと謝り、そして、彼女も彼の言動で傷ついたとしっかり言うところが好き。
無邪気だけれど、地頭はいい人なんだろうなあと思わせられる。

彼女に悪気はなくても、彼女を金儲けの手段としても手放さない兄は、
彼女に執着した男たちから、それが復讐でもあるかのようにお金を搾り取っていた。
舞音は、詳細を知らされているわけではないけれど、
自分に貢いでいた男が、つぎつぎと落ちぶれていくのに気づかないわけではなかった。

「私、あなたを破滅させてしまうかもしれない」
「それでもかまわない。君なしでは生きていけない」
互いの気持ちを確かめ合った後も、舞音の心から、不安が全て去ったわけではない。
シャルルを喜ばせる笑顔を向けながら、彼の愛を試さずにはいられない。
それは彼女と兄を置いて去ってしまった父と、シャルルとは違うのだという証拠を探し集め、
胸に抱きしめてつかの間の安堵を抱いているようで、とても切ない

シャルルの表情に落とす影に、兄が関わっていることに彼女が気づいていないはずがない。
でも彼女は兄を切れない。父が急死したあと、彼女を「生きるためなら何だってやって」守ってきたのは兄だから。
(舞音のすれてなさ、そして兄クオンを演じるたまちゃんのたくましさから、そのあたりが勝手に想像されます)
彼女にとっても兄は唯一無二の人だったから、兄が死ぬまでシャルルを選ぶことはできなかったのだろうし、
シャルルも、兄妹の強い絆をわかっていたから、舞音にどっちかを選べと辛い選択を迫らなかったのだと思う。
(兄から妹への気持ちは愛情のようにもみえる。恋人のように妹の腰を抱く兄、かなり変だし、兄は妹が好きすぎるあまり、
 女性の好みが面白い方向へ行ってしまったのかも???)

いろいろあって、汚いことを全部引き受けていた兄が死んだあと、舞音には一気に不幸に見舞われた。
舞音が泥の中で美しく咲いていたのは、兄が防波堤になっていたからと証明しているように。
舞音はスパイとの濡れ衣を着せられ投獄、無実なのに弁明も許されず、いけにえとして島流し(?)。
この環境の激変は、彼女の父が死んだ時の再来、犯罪者として捕らえられているのだから、その時よりも
ひどいものであったけれど、(亡父と違い)シャルルは彼女を見捨てなかった。
シャルルの影が、牢獄の舞音を、いたわるようにそっと抱く芝居が、とても好きです。
舞音は彼からの手紙を読み返し、それを頼りに心の火をともし続ける。

反政府派の指導者と舞音の島流しが同じ日になった。シャルルと反政府派は現地で協同して、
それぞれの大切な人を奪還するが、舞音は銃創を負ってしまう。
協同するきっかけは、舞音の歌。
政府と反政府派が対立している状況で、舞音は母が好きだった曲を口ずさむ。彼女がどつかれ途切れた歌を、
彼女を憎んでいた反政府派のホマが歌いつぎ、それが民衆全体に広がっていくシーンに涙があふれました。
クオンは俺には故郷なんてない、金しか信じられないと強がったけれど彼に守られてきた妹の中には、
母が愛した故郷があったんだとも感じました。

小船で逃げる二人。舞音は苦しい息の中で、シャルルに辛い思いをさせたことを詫び、
シャルルに愛されて幸せだったと、彼が送った手紙を読んで欲しいとせがむ。
本当の名前は、憎憎しく拒絶していた蓮の花を意味する名前だと、このときは笑顔で告げた時の彼女は、
シャルルに心を前回にしていた。今彼女は幸せなのだと、オペラグラスを介して見ている私の身体全体に
伝わり、彼女と一緒に嬉しさに泣いてしまう。

彼女からキスをせがみ、それが叶う直前で彼女は息絶える。先にも書いたけれど、
このときの身体表現が素晴らしいと思う。

しかし、涙はここまで。
残された男が「どうすればいい」とな? 
「舞音がいなければ生きていく意味がない」というようなことを、繰り返しておられましたよね?
それに応えて、シャルルの本心とされる影が出した答えが「心の赴くままに」、ですって?
愛する人の命が絶たれるシーン、私の中で印象的なのは、同じ月組の『アルジェの男』だが、
凶弾に倒れた恋人を前にして、絶叫し、その後は放心するほうが、私には納得が行く。

水に浮かぶ小船、という幻想的なシーンに、同じクリエイターさんによる『ルートヴィッヒ二世』が
思い浮かんだが、あの時のように、舞音のなきがらを抱いたシャルルが、
精霊たちに誘われ水の中に消えていくようなシーンで終わらせてくれたら綺麗なままで終われ、
涙も引っ込まなかったのに。

舞音がピュアで、『マノン』が原作ということだが、キャラクター的に『椿姫』のヴィオレッタのほうが浮かんでしまった。


舞音以外の人たちについてちょこっとだけ

シャルル
 演者の台詞の節回しが癖になる、嵌るというのが分る気がします。前回見たときより、大仰になっていました。
 きめ顔は美しいし、白い軍服が心配なく似合うというのはうらやましい限り。
 舞音を大切に思っている芝居が丁寧で、好きです。

シャルルの影
 美形の正しい使い方だ、と膝を打つ! シャルルと二人で絡んでいるところは、『ルートヴィッヒ二世』っぽい。
 似ているとは思わない二人なのに、影と本体として存在していて、いい配役だと思いました。
 舞音が大好きだと、本体よりストレートに、本心だからでているところが、好きです。

クオン
 前回見たときより、でっかく見えました。声もしっかり聴こえました。
 口では金が全てといっているけど、舞音にはやさしいというか、やらしいというか。(舞音に夢中な男たちに、
でも舞音は俺が一番好きなんだぜ、と優越感を持っているようで、また妹に手を出した彼らを破滅させるのに
快感を覚えていそうな、歪みを勝手に感じました)
 妹と年齢差はあまりなさそうだけど、お兄ちゃんは頑張って、世間の冷たい激風から妹を必死で
守ったんだねえという、あったかさがでていたような。やーい、シスコン!

クリストフ
 友人も妻も裏切りそうにない誠実さが出ていたと思います。「明日への~」の役とかぶっていて、
似合ってはいるけれど、別系統の役のほうが経験を積む上でよかったのではともったいない思い。

支配人
 人の目を奪っていくな! いちいちかっこいいんですよ、この人。見逃すと損をした気にさせられます。

よっぱらい軍人
 キャストを見てぶっとんだ。さすがのまゆぽん。下卑た笑い声で、シャルルとの育ちの違いを、
一発で明確に示してしまったところに、しびれました。

下克上軍人
 からんちゃんの悪い顔、好きー!

カオ
 めっちゃきらきらしてた。


ショーについて

アフリカ土着ダンスのところが一番好きです。目が足らない。からんちゃんの声で、一気に異世界に引き込まれます。
トシにからんちゃんにたまちゃん、そしてちゃぴさま。他にもダンス名手がそろっているのだけれど、
視界の狭さから追いかけ切れない。
男役を従え、情熱のダンスを見せた後、中詰めでは白いドレスで主演さんにしっとりと寄り添う。とても同じ人だと思えない。
デュエットダンスで羽衣のように軽く、ちゃぴさまの長いスカートが舞うと、はわわ~~とと夢の世界に誘われます。
(昔は、そんなに上手じゃなかった記憶があります)

組子のダンスであったまったところに、真打登場、とトップスターがきらっきらの豪華衣装(よくお似合いです)で
登場するのが、今の月組のパターンなのかなあと、面白く見ました。

ナスの妖精と、花詩集の胡蝶蘭から愛で、CoCo壱でなすカレーを注文するたびに、
(たまナスカレー)と心の中でつぶやいてにやけている、たまちゃんは、声もでっかくなっていました。
(がなっているようで気にはなるが、声量は十分) ダンスも前より上手くなっているようで嬉しい。
チェロ弾きのシーン、わかばちゃんとのからみがとてもかわいい。立派な二番手さんだー。

歌の上手さではカチャ>みやるりだったはず(だから、宙組男役のカチャを、あさこトートの相手役に
もってきたんですよね)なのに、男役としての低音に関しては逆転していると思うのは、
みやちゃんの声質が好きという私側の事情だけではないと思う。

位置を大体覚えた(今回センター多し!)トシは、一分の隙もない格好良さで、
こけないのが不思議なほどにバランスを崩して、ビシビシ決めてくる。
格好良すぎるものを見ると、変な声が出ることを、今回知りました。
リフトもすごいです。

前トップさん時代に、好きになった人たちは覚えているので追いかけてしまいます。
もっとも濃い記憶は退団公演に凝縮されていて、
ちゃぴちゃんはアステアきょうだい役でトシと、流れるようなすごいダンスを見せてくれたなあとか、
新人公演でたまちゃんと主演コンビだったなあとか、そんな気持ちでアフリカンダンスを見ていました。
美しい生腹もご馳走様でした。
まりもさまの腹筋と……に、オペラを上げていた『アルジェの男』を懐かしく思い出しました。
『アルジェ』のまさお節も強烈で、それに対する主演さんの嫌そうな表情とセットで忘れられません。
「いよお~、ジュゥリアァアンン」 こんなにねちっこく絡まれたら嫌な顔になるわ。実にいいキャラだと思います。

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たまり(ょ)

Author:たまり(ょ)
『マイメロ』の柊恵一さん中心感想や、奈良大淀病院事件の傍聴記録を書いていました。

現在は、感想や日記を時々。
スポットライト(好きな人しか目に入らない視野狭窄)状態で、片寄ってます。

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『おねがいマイメロディ』シリーズ(終了)
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